2011 Fiscal Year Annual Research Report
痛み認知に対する社会的修飾メカニズムの神経基盤の研究
Project/Area Number |
22791438
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大迫 洋治 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40335922)
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Keywords | 社会脳 / ストレス / 医療・福祉 / 獣医学 / 行動学 |
Research Abstract |
高社会性げっ歯類の社会環境を操作することにより、痛み認知に対する社会的修飾の脳内メカニズムを明らかにすることを目的とする。特に、社会的ストレスに焦点をあて、パートナーロス(パートナーとの別離)や社会的敗北といった社会的ストレスによる痛み修飾メカニズムを探る。 22年度は、一夫一婦制を営むげっ歯類に1週間の同居により絆を形成させ、絆の有無を行動学的試験により確認し、その後パートナーロスの状態にし、それに伴う情動の変化を行動学的に解析した。その結果、うつ状態には陥らないが不安レベルが亢進するデータが得られた。 23年度は、パートナーロスによる情動の変化を自律神経学的に解析した。テスト動物の体内にテレメーターを埋め込み、深部体温と心拍数の変化を自由行動下で記録した。深部体温は、パートナーロス直後は急激に下がるがその後数日間にわたり徐々に上昇していった。心拍数は、パートナーロス直後は減少するがその後数日間にわたり徐々に増加していった。これらの結果は、パートナーロスにより、高体温症を発症し交感神経優位の状態になることを示している。いずれもストレス反応と考えられ、パートナーロスが社会的ストレスとして作用すると考えられる。 24年度は、パートナーロス以外にパートナーズペインや社会的敗北といった社会的ストレスを負荷し、それに伴う情動の変化を行動学的、内分泌学的、自律神経学的に解析を行う。さらに、社会的ストレス負荷による痛み認知の変化についても解析を進める。痛み認知については、von Freyテストやホルマリンテストなどにより行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度に研究代表者が所属研究機関を異動した。それに伴う本研究課題に用いる実験動物の異動などに時間を要し,研究開始が遅れた。23年度はパートナーロスに伴う情動の変化と痛み認知の変化を解析する計画だったが、痛み認知の解析を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
絆の有無を確認する行動試験の効率が悪かったため、今年度は行動装置と撮影装置を改良し、ハイスループットに絆の有無を確認できるようにする。社会的ストレスとしてパートナーロスを用いてきたが、これまでの解析により情動の変化を引き起こすまでに時間を要することが分かった。今年度は,社会的ストレスとしてパートナーズペインや社会的敗北を用いることにより、研究全体の高効率化を図る。
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