2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の虚血再灌流障害における強心薬の効果的な投与開始のタイミングと機序の解明
Project/Area Number |
22791440
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 伊津子 長崎大学, 長崎大学病院, 助教 (10404245)
|
Keywords | 強心薬 / 心筋虚血再灌流障害 / 心筋スタニング / PDEIII阻害剤 / カルシウム感受性増強作用薬 |
Research Abstract |
麻酔したブタを用いて、気管切開を行い人工呼吸器を装着し、胸骨を切開し心臓を露出し、頚動脈-左前下行枝バイパスを作製した。このバイパス回路を12分間遮断し90分間解除することによって左前下行枝灌流領域を虚血再灌流させる心筋虚血再灌流モデル(心筋スタニングモデル)を作成した。虚血再灌流部位に一対の超音波クリスタルを植え込み局所心筋短縮率(%SS)測定し、心筋収縮力の指標とした。このモデルを用いて、強心薬PDE阻害薬milrinoneとカルシウム感受性増強作用薬revosimendanの心筋虚血後の投与時間がスタン心筋の回復に与える影響について比較検討した。Milrinoneとrevosimendanは臨床使用量を中心静脈から全身投与した。 1.PDE阻害薬milrinoneを虚血直後及び虚血後20~90分に投与し、各血行動態、再灌流後の心収縮力の回復率、再灌流性不整脈の出現率をコントロール群と比較検討した。虚血直後投与では心筋スタニングからの回復を改善することが明らかとなった。しかし、虚血後20~90分の投与では改善は認められなかった。このことから、PDE阻害薬milrinoneは心筋スタニングに対して保護作用があり、その保護作用は心筋への直接作用ではなく、薬理学的ポストコンディショニング効果であることが証明された。 2.カルシウム感受性増強作用薬revosimendanを虚血直後及び虚血後20~90分に投与し、各血行動態、再灌流後の心収縮力の回復率、再灌流性不整脈の出現率をコントロール群と比較検討した。虚血直後投与では心筋スタニングからの回復の改善を認めなかった。しかし、虚血後20~90分の投与では回復の改善を認めた。このことから、カルシウム感受性増強作用薬revosimendanは直接作用で心筋スタニングからの回復を改善することが証明された。
|