2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロキニン1受容体刺激によるマイクロパーティクル放出の血液凝固に対する影響
Project/Area Number |
22791454
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
星島 宏 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (90536781)
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Keywords | ニューロキニン1受容体 / サブスタンスP / 単球・マクロファージ / 血液凝固 / 組織因子 / マイクロパーティクル / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
本研究の目的は,白血球ならびに血小板に由来し血液凝固を亢進させる作用を疼痛に関与する神経伝達物質サブスタンスPが修飾する分子機構を解明することである.平成23年度には以下の成果が得られた. 1.フローサイトメトリーを利用したマイクロパーティクル分析.血栓形成に強く関与する白血球として,単球系細胞を候補として選び,無限寿命化細胞株THP-1を利用して実験を行った.THP-1は培養を継続すると,小型化した細胞が発生することがフローサイトメトリーで確認できた.また,無血清培養により,小型化細胞の発生が増大した.小型化細胞内にはスーパーオキシドが蓄積し,凝固亢進物質であるホスファチジルセリンが細胞表面に出現していることも確認した. 2.分光光度計を利用したXa活性の測定.上記の培養条件で出現した小型化細胞は,培養上精に組織因子を放出し,Xa活性を増加することが確認できた.これらのことから,THP-1は特定の条件下でホスファチジルセリンならびに組織因子の少なくともふたつの血液凝固促進物質を発生させることが確認できた. 3.完全長NK1受容体を強制発現させたTHP-1の作成.赤色蛍光遺伝子と完全長NK1受容体遺伝子を組み込んだプラスミドを作成した.これをTHP-1に導入し,赤色蛍光ならびに完全長NK1受容体の発現を,蛍光顕微鏡と核酸増幅検査により確認した. ヒト単球系細胞THP-1を用いた上記の研究により,単球(白血球)由来の凝固亢進作用を定量評価するための実験系が構築できた.またわれわれは,単球の凝固亢進に関わる重要な分子として完全長NK1受容体を候補に挙げているが,これを単球に自由に発現させる方法を確立した.完全長NK1受容体発現と血栓形成の関連に注目している研究グループはわれわれのほかになく,本研究を通して,血栓症発症に関する痛み制御の重要性を世界に先駆けて提唱することが出来る.
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Research Products
(2 results)