2011 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌の尿中マーカーと治療標的としてのRANTES・MCP-1の可能性探究
Project/Area Number |
22791465
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鶴田 大 秋田大学, 医学部, 助教 (90466590)
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Keywords | 膀胱癌 / RANTES / CCR5 / 尿中サイトカイン |
Research Abstract |
我々は以前に膀胱癌の発癌、浸潤にPTEN-PI3K-AKT経路が寄与している可能性が高いことを示したが、この経路の活性化には、外部からの成長因子やサイトカインといった入力が不可欠である。サイトカインも尿中には十分含まれていると考えられ、これらの入力が刺激となって膀胱癌の浸潤、あるいは転移が加速される原因の一つになっている可能性がある。特に炎症性サイトカインのうち、RANTES(CCL5)やMCP-1(CCL2)は、癌細胞から分泌されて、腫瘍細胞自身のmotilityを高めるだけではなく、腫瘍細胞にとって都合のよい微小環境を作りあげることが報告されている。膀胱癌においても、慢性の尿路感染症は膀胱癌発癌のリスクファクターであり、長期間の尿中の炎症性サイトカインの曝露により発癌や癌の浸潤、転移過程にも関与している可能性は高いと考えられる。 今年度の研究では、健常人と膀胱癌患者の尿中RANTESの濃度を比較し、膀胱癌患者の尿中RANTESの濃度が有意に上昇していることが確認できた。また比較的悪性度の低い膀胱癌でも有意な上昇を認めていることから、膀胱癌の早期発見につながる新たな腫瘍マーカーとしての可能性が示唆されたと同時に、尿細胞診などの低浸襲な検査と組み合わせることによって、より腫瘍マーカーとしての感度、特異度を増幅させられる可能性が出てきた。また、膀胱癌の悪性度、浸潤度と尿中RANTESの濃度の関連においても相関関係を認めた。さらにRANTESの主な受容体であるCCR5の膀胱癌組織における免疫染色でも染色度と膀胱癌の浸潤度は極めてよく相関したことから、RANTESやCCR5は膀胱癌の早期発見につながる新たな腫瘍マーカーとなりうる可能性のみならず、膀胱癌の悪性度(浸潤癌への移行、転移のし易さなど)を示すマーカーともなりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)