2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抑制因子サバイビンをターゲットとした新規分子標的癌治療の研究
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22791466
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小池 秀和 群馬大学, 医学部, 助教 (90420091)
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Keywords | 前立腺癌 / 腎癌 / サバイビン |
Research Abstract |
前立腺癌では、in vitro and in vivoにおいて、survivin遺伝子に対するsiRNA導入により、前立腺癌細胞LNCaP,PC-3の細胞増殖が有意に抑制された。続いて、シンバスタチンの抗腫瘍効果につき検討した。PC3では、低用量および高容量のシンバスタチンともに、survivin遺伝子発現を減少させ、細胞増殖を抑制した。一方、LNCaPでは、低用量シンバスタチンでは、survivin遺伝子発現は減少せず、細胞増殖も抑制されなかった。しかし、survivin遺伝子に対するsiRNA導入によりsurvivin遺伝子発現が抑制された状況では、低用量シンバスタチンは細胞増殖を抑制した。これらは、survivinが前立腺癌の増殖に関与していること、および、シンバスタチンの抗腫瘍効果、細胞増殖抑制増感効果に重要な役割を果たしていることを示唆した。(欧州泌尿器科学会2010年年次総会) また、活性型ビタミンDである1α,25(OH)2D3とsurvivin発現の関連につき検討した。LNCaPにおいて1α,25(OH)2D3の濃度依存性に細胞増殖が抑制された。一方、DU145においては細胞増殖抑制をきたさなかったものの、siRNAによるsurvivin mRNAの発現抑制下では、1α,25(OH)2D3によりDU145細胞増殖が抑制された。1α,25(OH)2D3の前立腺癌細胞に対する増殖抑制機序、および細胞増殖抑制増感効果にsurvivinが関与している可能性が示唆された(日本泌尿器科学会2010年年次総会) 腎癌では、腎癌細胞caki1およびKMRC1におけるシンバスタチンの抗腫瘍効果とsurvivin,IGF1シグナルとの関連につき検討した。caki1ではsimvastatinにより細胞増殖が抑制された。一方KMRC1では認められなかった。caki1ではsimvastatinによIGF1r,survivin mRNA発現が抑制された。またIGF1によりsurvivin mRNA発現が増加し、IGF1r siRNAにより細胞増殖が抑制された。またsurvivin siRNAにより、caki1細胞増殖が抑制された。これらより、simvastatinの腎癌細胞抑制効果に、IGF1シグナル、survivinが関与している可能性が示唆された。(米国泌尿器科学会2010年年次総会、日本癌治療学会2010年年次総会)
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