2011 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抑制因子サバイビンをターゲットとした新規分子標的癌治療の研究
Project/Area Number |
22791466
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小池 秀和 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90420091)
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Keywords | 前立腺癌 / 腎癌 / サバイビン |
Research Abstract |
前立腺癌では、まず、前立腺癌細胞LNCaP,PC3をヌードマウスに移植したモデルにおいて、silRNAによるsurvivin発現抑制による抗腫瘍効果を確認した。次に、活性型ビタミンDである1α,25(OH)2D3とsurvivin発現の関連につき検討した。LNCaPにおいて1α,25(OH)2D3の濃度依存性に細胞増殖が抑制された。一方、DU145においては細胞増殖抑制をきたさなかったものの、siRNAによるsurvivin mRNAの発現抑制下では、1α,25(OH)2D3によりDU145細胞増殖が抑制された。1α,25(OH)2D3の前立腺癌細胞に対する増殖抑制機序、および細胞増殖抑制増感効果にsurvivinが関与している可能性が示唆された(J Urol.2011 Apr;185(4):1497-503.) 腎癌では、腎癌細胞caki1およびKMRC1におけるシンバスタチンの抗腫瘍効果とsurvivin,IGF1シグナルとの関連につき検討した。caki1ではsimvastatinにより細胞増殖が抑制された。一方KMRC1では認められなかった。caki1ではsimvastatinによりIGF1r,survivin mRNA発現が抑制された。またIGF1によりsurvivin mRNA発現が増加し、IGF1r siRNAにより細胞増殖が抑制された。またsurvivin siRNAにより、caki1細胞増殖が抑制された。これらより、simvastatinの腎癌細胞抑制効果に、IGF1シグナル、survivinが関与している可能性が示唆された。一方、caki1を移植したヌードマウスでの検討でも、simvastatinによりcaki1腫瘍の増殖抑制効果が認められた。しかし、simvastatin治療においても残存したcaki1腫瘍では、survivinの発現は増強していた。そこで、simvastatinに耐性をもったcaki1をin vitroで作成したところ、survivinは強発現していた。ここで、simvastatin耐性caki1において、siRNAによりsurvivinを抑制した状態とし、simvastatin投与をおこなったところ、simvastatinの細胞増殖抑制効果が認められるようになった。同様に、simvastatinに耐性をもったKMRC1でも、siRNAによるsurvivin抑制下では、simvastatinの細胞増殖抑制効果が認められた。以上より、simvastatin耐性細胞では、survivin発現を抑制することで、simvastatinの抗腫瘍効果が出現することを見出し(米国泌尿器科学会2011年年次総会)、今後臨床で問題となりつつある薬剤耐性腎癌に対する治療へのアプローチになる可能性が示唆された。
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