2011 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるタリン1の機能解析およびテーラーメード医療への応用
Project/Area Number |
22791469
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 信一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70422235)
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Keywords | 前立腺癌 / マーカー / 免疫染 / 診断 / テーラーメード医療 |
Research Abstract |
前立腺癌患者標本における免疫染色法を用いて、Talin1のタンパクレベルの発現解析に関して、317検体のTissue Microarrayを用いて解析した。前立腺癌患者標本において、Talin1の発現は、正常前立腺部、及び、前立腺肥大症と比較して、前立腺腫瘍部において、発現の亢進をみとめた(P=0.00028)。さらに、リンパ節転移巣においても、原発巣と比較して優位な発現上昇を認めた(P=0.0000009)。前立腺癌原発巣における解析においても、低分化前立腺癌Gleason(8/9)において、中分化前立腺癌Gleason(6/7)と比較して高い発現傾向を認めた(P=0.0009)。 さらに、当大学において、採取した53名の前立腺癌摘出標本を用いて、Talin1の発現と臨床指との相関を解析した。Gleason Scoreとの相関を解析したところ、Gleason6と9の間に有意差を認めた(P=0.0008)。PSAとの相関を5未満、5~10未満、10~20未満、20~にて解析したところ有意差を認めなかった。臨床病期との相関を解析したところ、pT2(限局性腫瘍)とpT3(浸潤性腫瘍)との間に有意差をみとめた(P=0.008)。(pT2a vs pT3a P=0.02)、pT2b vs pT3a(P=0.002))術後の前立腺癌PSA再発との間には相関を認めなかった。D'Amicoリスク分類、Active Surveilance適応、非適応症例との比較において有意差をみとめなかった。 Pre-treatment Nomogramを想定して、術前の同一Clinical Stage(cT1c)の患者において、病理学的に限局性癌、或いは、浸潤癌を予測する可能性について解析した。Talin1が高発現のcT1c症例は、優位に被膜外浸潤を予測する可能性が示唆された(pT2 vs pT3 P=0.013)。今後、さらに臨床検体数を増やして、Talin1の発現と臨床指標の関連を解析し、また、前立腺生検検体を用いた免疫染色を行い、生検時のTalin1の発現から、病理学的病期の予測(限局癌vs浸潤癌)が可能か解析を進めていく方針である。
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