2011 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱粘膜へのcAMPを介したBCG感染機序およびその細胞増殖抑制機構の解明
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22791482
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
福田 勝洋 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (30468251)
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Keywords | cAMP / 膀胱がん / BCG |
Research Abstract |
膀胱がんにおけるBCGの効果を予測する因子としてcAMPの関与を明らかにするため、以下の項目につき検討を行った。 1.ヒト膀胱がん細胞株RT4、5637、T24でのBCG感染率を測定した。 2.ヒト膀胱がん細胞株RT4、5637、T24でのPKAの発現をウエスタンブロット法で確認した。 結果は、high gradeのT24と比較し、low gradeのRT4の方が約3倍感染しやすい傾向を認めた。また、cAMPに関連する増殖因子であるPKAの発現をウエスタンブロット法で検討してみると、RT4と比較してT24の方が高発現していた。以上より、high grade cancer cellであるT24はcAMPの活性が高く、それによるBCGの感染率が低下していることが考えられた。BCG療法はBCGががん細胞に感染し、感染細胞に対する免疫応答によって抗腫瘍効果を発揮する。私たちはBCG無効例はがん細胞におけるcAMPの活性によってBCG菌が膀胱内腔にexocytosisを起こし、結果としてBCG菌の感染および感染細胞への免疫応答が十分行われず、抗腫瘍効果が減弱すると考えた。現在のところ私たちの仮説を裏付けるように、浸潤を起こしやすいhigh grade cancer cellではPKAの活性が高く、BCG感染率も低いことから、cAMPを介したexocytosisが引き起こされていることが推察された。 次にcAMP阻害作用を持つフォルスコリンを投与し、BCGの感染率に変化があるかどうかの実験を行う予定であるが、現在安定した感染率の定量が行えておらず、単にZiehl-Neelsen染色してBCG感染細胞をカウントすることがよいのか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Ziehl-Neelsen染色してBCG感染細胞をカウントすることによって感染率を定量化しているが、安定した結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在BCGの感染をシャーレ培地上で行って感染細胞をカウントしているが、ゲル上で行うことを考えている。単に接しているだけの細胞はカウントから除去し、細胞内にBCGが取り込まれていることを確認できた細胞のみを感染細胞とすることによって安定した感染率の検討を行う予定である。
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