2010 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線による腫瘍特異的光線力学的治療法に向けての基礎研究
Project/Area Number |
22791486
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池上 要介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (40381868)
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Keywords | 癌 / 光物性 / 蛋白質 |
Research Abstract |
【目的】紫外線(特にUVA-1)は正常細胞と比較し、悪性細胞に対しよりapoptosis誘導能が高いとの報告がある(Yamauchi Rら,J Invest Dermatol., 122 (2) : 477-83, 2004)。また紫外線は有効深度が浅く、粘膜内のみの照射が可能で、筋層・粘膜下組織への影響は少ないと考えられる。我々はこの効果を膀胱癌治療に応用できないかと考えた。さらに新規光感受性物質であるフラーレンにグルコースを付加することで、FDG-PET CTの原理を応用した光感受性物質を開発した。我々は、膀胱がんの新しい治療法としてフラーレンを併用したUVA-1による、癌特異的photodynamic therapyの開発を本研究の目的としている。【方法】膀胱癌細胞株を用いて、UVA-1照射+フラーレン投与による効果を次のように検討した。1)WST-1 assayによる殺細胞効果、2)フローサイトメトリーによるapoptosis誘導効果、3)Chk1を中心とした、各種リン酸化抗体による新規細胞内シグナル伝達機構の解析。【結果】UVA-1照射にフラーレンを併用することで、著明な殺細胞効果を認めた。2)UVA-1照射+フラーレン投与によりapoptosisが誘導された。3)UVA-1照射により、Chk1のセリン345のリン酸化は起こらないことから、通常実験で使用されるUVとは違う経路でのapoptosis誘導が示唆された。【考察】膀胱癌細胞株へのUVA-1単照射では、ほとんど効果を認めないが、フラーレンを併用することにより著明な治療効果を細胞レベルではあるが確認した。UVA-1は世の中で人工的な日焼けに用いられており、またフラーレンも化粧品の一成分であることから、人体への安全性が保障されていることから、十分に臨床への応用が可能な治療法であると考えられた。
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