2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラット前立腺癌モデル由来細胞株による前立腺癌転移モデルの確立とその機能解析
Project/Area Number |
22791487
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 臨床研究医 (50551272)
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Keywords | 前立腺癌 / 動物モデル |
Research Abstract |
ホルモン療法抵抗性前立腺癌(アンドロゲン非依存性前立腺癌)の特徴として、骨に特異的に転移することが挙げられる。一度骨へと転移した前立腺癌は通常のホルモン療法や抗癌剤治療が奏功しにくく、死期を早める。アンドロゲン非依存性前立腺癌の骨転移メカニズムに関しては不明な点が多く、ヒトの病態をよく模倣した、安定的に骨に転移を起こす動物モデルはほとんどない。そこで本研究において私たちは、当教室で樹立したトランスジェニックラット由来のアンドロゲン非依存性前立腺癌から細胞株を新たに樹立し、ヌードマウスの前立腺・尾静脈に移植を行った。これらの詳細な検討の結果、この前立腺癌は、リンパ節・骨へと安定的に転移が出現することを見出した。この転移病巣はヒトの前立腺癌の病変と病理学的に非常に類似していることが分かり、これにより、ヒトの前立腺癌化学予防および進展防止物質の検討に用いることが出来るモデルとして確立できた。これらの癌病巣はトランスジェニックラットの性質を保持しているため、アンドロゲンレセプターの免疫染色で容易に癌を検出することが出来、その点からも汎用性が高いモデルと考えている。そして、これらの病巣は、ホルモン療法である去勢術を行っても形成されることから、ホルモン療法抵抗性前立腺癌の骨転移メカニズムの解析に非常に有用なモデルである。今後はアンドロゲン非依存性獲得とともに発現変化のある遺伝子に注目し、今回樹立できた転移モデルを用いて、それらの遺伝子の機能解析ならびに、診断・治療への応用について検討をし、既知のモデルでは解明できなかったメカニズムの解析や新規診断法・治療薬の開発を目指す。
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