2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラット前立腺癌モデル由来細胞株による前立腺癌転移モデルの確立とその機能解析
Project/Area Number |
22791487
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 臨床研究医 (50551272)
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 転移動物モデル / 分子標的治療 |
Research Abstract |
前立腺癌研究の問題点として、アンドロゲン依存性、アンドロゲンレセプターの発現などの特徴を維持した、in vitro、in vivoの実験モデルの構築が困難であることが挙げられる。これらを踏まえ、本研究では、新たな実験モデルの確立を試みると共に、その機能解析により新しいホルモン療法抵抗性前立腺癌の治療薬の開発に向けた基礎研究を行うことを試みた。 まず、ヒトの病態を良く模倣した、安定的に骨に転移を起こす動物モデルの確立を目指した。トランスジェニックラットから新しく樹立した細胞株PCai1は、ヌードマウスの前立腺同所移植においてリンパ節転移・肺転移を安定的に起こした。さらに、尾静脈投与では、肺転移に加え、骨転移を高頻度で認めることが分かった。その転移性病変を詳細に検討すると、ヒトの病理組織像と酷似しており、新たなホルモン療法抵抗性転移動物モデルの確立に成功した。 そこで、ホルモン療法抵抗性獲得前後で遺伝子解析を行い、発現上昇を認める遺伝子GlutathioneS-transferasePi(GST-Pi)に新たに着目し、機能解析を行った。細胞株PCai1やPC3において、GST-PiをsiRNAで抑えると、細胞増殖が有意に抑制され、酸化ストレスの本体であるROSが有意に上昇した。in vivoにおいても、GST-Piを抑えると、去勢抵抗性の細胞増殖が著明に抑えられることが分かった。さらに免疫組織学的検討にて、GST-Piは骨転移部位で高発現を認め、この遺伝子は骨転移の治療標的遺伝子となりうることを見出した。
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