2010 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌の発癌、再発、進展における芳香族炭化水素受容体発現の意義
Project/Area Number |
22791494
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石田 勝 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80383876)
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Keywords | 膀胱癌 / 芳香族炭化水素受容体 / 発癌 / 浸潤 |
Research Abstract |
1.膀胱癌組織を用いた臨床病理学的検討 膀胱癌患者の膀胱全摘臨床検体56例を用いて免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的に検討を行った。芳香族炭化水素受容体(aryl hydrocarbon receptor:AhR)の発現は核染色をもって陽性とし、癌細胞の陽性率を判定した。また、陽性率が50%以上の症例をAhR高発現とした。【結果】病理学的病期(pT)(p=0.008)、脈管浸潤(p=0.04)とAhRの過剰発現との相関が認められたが、組織学的悪性度、リンパ節転移(pN)との相関は認めなかった。次いで予後との相関について検討を行ったが、AhRの発現は無病生存期間および疾患特異的生存期間いずれを予測する独立した因子ではなかった。【結論】本検討ではAhRの発現と予後との相関は認められなかったが、病理学的病期および脈管浸潤との相関が明らかになった。病理学的病期、脈管浸潤はいずれも浸潤能を反映する因子であり、AhRが癌細胞の浸潤を調節している可能性が示唆された。われわれは腎細胞癌細胞株において、AhRの発現調節によりslugやE-cadherinといった上皮間葉転換に関連する因子の発現に影響し細胞浸潤が変化することを明らかにした(26th Annual European Association of Urology Congress)。膀胱癌においても同様にAhRが上皮間葉転換を誘導する事で浸潤に寄与する可能性があり、今後の検討課題である。 2.膀胱癌細胞株のAhR発現調節 膀胱癌細胞株(T24)にAhRのリガンドである2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)を添加し、AhR発現が増加をすることを確認した。TCDDの至適投与濃度は10nMであった。 AhRに対してデザインされたsiRNA配列をリボソーム法にて各細胞にトランスフェクションさせ、AhR発現が特異的に抑制されることを確認した。以上より、in vitroにおけるAhRの発現調節が達成された。
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Research Products
(7 results)