2012 Fiscal Year Annual Research Report
アロ活性化マクロファージによるアロ移植細胞拒絶機構の解析
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22791504
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
能見 勇人 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80418938)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マクロファージ / 急性拒絶反応 / 免疫寛容 / 同種異系移植 / マウス |
Research Abstract |
同種異型(アロ)移植での細胞性拒絶応においては、単球/マクロファージ(Mφ)系が抗原提示細胞としてだけではなくeffector細胞としても一定の条件下において重要な役割を担うことを確認し、報告してきた。一定の条件とは、獲得免疫系での細胞障害性T細胞(CTL)が働けない環境においてという意味である。つまりCTL不応の状況での細胞性拒絶は単球/Mφ系の細胞にあることを示してきた。 線維肉腫系の腫瘍細胞であるMeth A細胞は、活性化されたアロのCTLにより破壊されないが、アロ活性化Mφ(AIM)により破壊される。この破壊の状況は、GFP蛋白を導入されたGreenマウス由来のAIMを蛍光顕微鏡で連続的に観察し、AIMがMeth A細胞を噛み切るように障害し破壊することを示してきた。 具体的にはC57BL/6マウス腹腔にアロ移植細胞としてMeth A細胞を移植し、7日目など次期にマウス腹腔の細胞をPBSで洗浄し洗いだし、その腹腔浸潤細胞の細胞数の確認を行うとともに、Mφ分画をセルソーターで抽出した。この分画はMac-1(CD11b)陽性であり、かつMeth A 細胞を噛み切るように傷害すること、また馬蹄様の核の存在からMφを主体とした分画であると考えた。しかし、ナチュラルキラー(NK)細胞のうちMac-1陽性の細胞が同様に腫瘍細胞を攻撃するとの報告も認められるようになったため、AIMとして集積していたものに、NK細胞が含まれ、NK細胞が、腫瘍細胞に対する活性をもってMeth A細胞を攻撃しているという可能性を否定するため、AIMの分画をさらにNK1.1陽性と非陽性に分画をさらにセルソーソターで分けてそれぞれ細胞障害活性を計測した。結果、NK1.1陰性の細胞の分画の障害活性の方が有意に低くなること確認した。NK細胞でなくAIM細胞に、アロ障害活性があるものと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アロ細胞として腫瘍細胞を用いてきたため、NK細胞が腫瘍細胞に対して攻撃している可能性を考慮し、再確認を行ったが。アロMeth A細胞に対するアロ障害活性はやはりアロ活性化マクロファージ(AIM)であることが、確認できた。この点においては、昨年度に想定した予定を順調にこなせた。 しかし、マウスにおける移植モデルにおいて、AIMのin vivoでの抑制方法においては、現在まで生体に安全な薬物を用いては方法の開発においては、臨床応用につながるような成果を得るには至ってない。マウスin vivoにおいてAMIの活性化を抑制する方法として、ステロイドやカルシニューリン阻害剤など既知の免疫抑制剤を使用して、T細胞由来のIFN-γなどのサイトカインを抑制することを介した、抑制は可能であるが、既知の方法を行う事では、より副作用の少ない免疫抑制方法を見いだすこととはならない。このため、新たな方法を検証しているが、現在のところは、上述の通りである。したがって、今後においても、このAIM抑制方法の開発は容易には進まないことも想定される。アロ拒絶反応を抑える実験では、AIM制御にかかる新たな方法の開発が想定以上に難しく、現状では全体の目標からすると実験はやや遅れていると言わざるを得ない。 今後、下記の免疫寛容を利用する方法も含めて検証を行い、安全性が高く、且つ強力なアロ拒絶反応の制御方法の開発に向けて、さらなる研鑽をつみたい。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の検証では、MethA細胞をC57Bl/6マウスの腹腔に3×10^6個アロ細胞として移植すると、約2週間で拒絶される。そこでさらに、同数のMeth A細胞を拒絶直後のマウスに移植するとより早急に拒絶される。これは、メモリーT細胞による、記憶免疫や、抗体の残存、局所に残存するAIMの再活性化などが原因として想定される。 このMeth A腫瘍細胞のアロさらに移植を繰り返し行う事で免疫寛容がおこり、腫瘍が拒絶できなくなり、マウスがアロMeht A腫瘍細胞を拒絶できなくなり、マウスが死亡するといった、モデルを作成したい。この免疫寛容モデルが、実際に作成されるか否かは、未知数であるが、移植細胞数や移植期間などの調整を精力的に行い、モデルの成立をまず行いたい。 次に、この免疫寛容モデルが完成すれば、同様の実験をグリーンマウスで行い、グリーンマウス由来のGFP蛋白で標識されたPEC細胞を得る。通常C57Bl/6マウスの腹腔にPEC作成時に移植したMethA細胞を含めたままで再移植するモデルを作成し、マウス腹腔におけるPEC細胞が、脾臓や胸腺に移行する様子を追跡し、T細胞ではなく、胸腺でT細胞のNegative selectionに関わる細胞をPECから獲得できるか否か、また、その細胞群が、単球/マクロファージ(Mφ)系か否かも含めて検証を行いたい。 これまでのAIMを直接抑制する方法以外に、単球/マクロファージ(Mφ)系の細胞を活用した免疫寛容を誘導する方法を開発し、in vivoで免疫抑制剤をほぼ使用せずにアロ拒絶反応を完全に抑制することを目標としたい。
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Research Products
(1 results)