2012 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるDD3による癌抑制候補遺伝子BMCC1の制御と癌化への関わり
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22791507
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
巽 康年 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 小児がん研究センター, 研究員 (00450578)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / BMCC1タンパク質 / アポトーシス促進因子 / siRNA / ノンコーディングRNA |
Research Abstract |
本研究は、前立腺がんのマーカーとして知られるDD3遺伝子が、当研究室で発見した新規遺伝子BMCC1遺伝子の第6イントロンに逆向きにコードされることから、前立腺がんにおいて機能未知non-coding RNAのDD3遺伝子の発現がBMCC1の発現制御に関わる可能性について検討する(項目1)とともに、この制御系を応用した前立腺がんの治療および診断への有用性を検討すること(項目2)を目的としている。 (項目1)24年度は、DD3の発現抑制によってその発現が亢進することを明らかにしてきたBMCC1が、細胞増殖を抑制し細胞死を誘導するメカニズムについて解析を行った。その結果、前立腺がん細胞株等において、BMCC1を過剰発現することにより細胞死が誘導されることを明らかにした。さらに、BMCC1タンパク質は細胞死を負に制御するBcl-2蛋白質と結合することを明らかにした。 (項目2)DD3によるBMCC1の発現制御機構を標的とした前立腺癌の新規治療法の検討するための準備段階として、前立腺がん細胞株を用いてsiRNA導入法によりDD3の発現抑制を行い、BMCC1の発現亢進に伴い細胞死が誘導されるかを検討した。その結果、DD3特異的なsiRNAを導入した細胞において、BMCC1の発現上昇とともに細胞死が誘導されることを見出した。また、DD3およびBMCC1の発現を指標とした診断法の検討に関しては、前立腺がん組織切片中のDD3の発現量をin situハイブリダイゼーション法により検出するための条件を検討した。 なお、以上の内容を含む研究は国内の学会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DD3がBMCC1を発現抑制するという現象およびその機構については、おおむね検証・解明できた。さらに、siRNAを用いて前立腺がん細胞株中のDD3の発現を抑制することに成功し、BMCC1の発現上昇とともに細胞増殖の低下および細胞死の誘導が確認出来たことから、前立腺がんの新規治療法への可能性が示された。また、項目2を遂行する為に必要不可欠となる、前立腺がん組織におけるBMCC1の発現をモニターする方法の確立にも成功している。DD3の発現をモニターする方法に関しては引続き検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(項目1)『前立腺がんにおいて機能未知non-coding RNAのDD3遺伝子の発現がBMCC1の発現制御に関わる可能性について』に関しては、BMCC1がどのようなメカニズムで細胞死を促進するかさらに検討を進め、DD3の発現抑制によって誘導されるBMCC1の発現亢進を介した細胞死誘導機構の詳細を解明する。 (項目2)『DD3-BMCC1制御系を応用した前立腺がんの治療および診断への有用性を検討する』診断法に関しては、in situハイブリダイゼーション法を用いたDD3の発現を検出する手法を確立し、BMCC1の免疫組織染色法と併せて、前立腺がん臨床検体における発現比較をすすめ、臨床データーと比較して統計的解析を行う。治療法に関してはDD3に対するsiRNA導入と他の薬剤とのコンビネーションを検討し、さらに前立腺がんモデルマウスにおいて検証する事を目指す。
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Research Products
(6 results)