2011 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱がんにおける尿中DNAメチル化マーカーの臨床的有用性に関する研究
Project/Area Number |
22791508
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
千原 良友 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40405395)
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Keywords | 膀胱がん / DNAメチル化 / 尿中剥離細胞 / 診断 / エピゲネティクス |
Research Abstract |
これまでの網羅的DNAメチル化解析の結果より同定された膀胱がん特異的にDNAメチル化異常を生じるCpG部位30カ所について、膀胱がん患者尿を対象としたvalidation studyを行った。DNAメチル化解析は、メチル化頻度を詳細に定量するために、パイロシークエンス法を用いた。この結果から30カ所の候補CpG部位のうち、さらに12カ所のCpG部位を膀胱がん患者尿を診断するマーカーとして選出した(高メチル化マーカー:SOX1,TJP2,MYOD,HOXA9_upper,HOXA9_lower 低メチル化マーカー:VAMP8,CASP8,SPP1,IFNG,CAPG,HLADP1,RIPK3)。それぞれのマーカーにカットオフ値を設定し、12マーカーのうち6マーカー以上でDNAメチル化異常を認めた症例を異常と設定した。膀胱がん患者尿と健常者尿との比較検討では感度100%、特異度100%の正確さで膀胱がん診断が可能であった。同一症例における膀胱がん術後経時的follow-up尿の検証では、観察期間に膀胱がんの再発を認めた7例中5例で再発時尿において6マーカー以上のDNAメチル化異常を認めた。観察期間に再発を認めなかった12例中10例では観察期間最終尿で6マーカー以上にDNAメチル化異常を認めなかった。これらの結果からわれわれが同定した遺伝子群のDNAメチル化異常は膀胱がん特異的に生じる変化であり、尿中剥離細胞に反映された。これらのマーカーは膀胱がん診断のスクリーニングのみならず、再発診断にも有用であることが示唆された。
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