2010 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存卵巣からの卵子再生:効率的な妊娠への新たな手技の確立
Project/Area Number |
22791512
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
熊澤 由紀代 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70400504)
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Keywords | 原始卵胞 / 卵巣凍結 / PTEN / 卵子再生 |
Research Abstract |
生後3日目のマウスの卵巣を摘出し、体外でPTEN抑制剤(bpv(pic))を作用させ、原始卵胞の活性化を誘導を試みた。PTEN抑制剤で処理した卵巣と非処理の卵巣を、卵巣を切除した同系統の成体マウスに移植し、各条件の至適化を行った。移植部位は、血流の豊富な腎被膜下が最も適していた。bpv(pic)の至適濃度はまだ検討の余地がある。培養時間は24時間が適していた。組織学的に卵巣内の卵胞発育を検討したところ、上記条件で原始卵胞の活性化が確認された。レシピエントマウスの寿命に相当する長期観察期間中に、一時的なPTEN抑制剤処理を施した卵巣が移植後に癌を発生することはなかった。卵巣移植翌日よりFSH投与を開始し、18日後にはLH刺激に反応する卵胞の発育が認められた。LH投与後12-14時間で卵巣を摘出し、卵巣内の排卵前卵胞から卵子を圧出したところ、成熟卵子が得られた。得られた卵子を同系統の雄マウスより採取した精子を用いて体外受精を行い、受精卵を偽妊娠マウスの子宮内に移植して産子を得ることができた。出生マウスは組織学的検索、行動異常の有無、妊孕性、寿命の検討において全て正常であった。成熟卵のインプリンティング遺伝子のメチル化解の結果、ゲノムインプリンティング異常は認められなかった。DNAマイクロアレイによるこの手法により得られた成熟卵および受精卵と体内で発育した成熟卵、受精卵との遺伝子発現プロファイルの比較検討は完了しなかったが、本年度の目的である、PTEN抑制剤による原始卵胞活性化法を確立はほぼ達成された。
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