2011 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存卵巣からの卵子再生:効率的な妊娠への新たな手技の確立
Project/Area Number |
22791512
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
熊澤 由紀代 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (70400504)
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Keywords | 原始卵胞 / 卵巣凍結 / PTEN / 卵子再生 |
Research Abstract |
本研究では、卵巣断片を体外にてPTEN抑制剤処理をすることで、原始卵胞を活性化させ移植した卵巣断片からの効率的な卵子再生を試み、妊娠成立への新たな手法の開発を目指す。マウスの卵巣を摘出し、体外でPTEN抑制剤(bpv(pic))を含む培養液で培養し、原始卵胞を活性化させた。PTENはPI3Kシグナル経路を抑制する分子であり、直接PI3K経路を活性化すれば更に効果があると考え、PI3K活性化ペプチド(740Y-P)の併用を検討した。PTEN抑制剤(bpv(pic))およびPI3K活性化ペプチド(740Y-P)を併用し、処理群卵巣と非処理群卵巣を卵巣を切除した同系統の成体マウスに移植し、各条件の至適化を行って至適条件を見出した。レシピエントマウスの寿命に相当する長期観察期間中に、一時的な薬剤処理を施した卵巣および周囲臓器が移植後に悪性腫瘍を発生することはなかった。卵巣移植翌日よりFSH投与を開始し、18日後にはLH刺激に反応する卵胞の発育が認められた。LH投与後12-14時間で卵巣を摘出し、卵巣内の排卵前卵胞から卵子を圧出したところ、成熟卵子が得られた。得られた卵子を同系統の雄マウスより採取した精子を用いて体外受精を行い、受精卵を偽妊娠マウスの子宮内に移植して産子を得ることができた。出生マウスは組織学的検索、行動異常の有無、妊孕性、寿命の検討において全て正常であった。成熟卵のインプリンティング遺伝子のメチル化解の結果、ゲノムインプリンティング異常は認められなかった。出生マウスは交配によりF2世代まで組織学的検索、行動異常の有無、妊孕性、寿命の検討を行い、正常性を確認した。本研究によりPTEN抑制剤およびPI3K活性化剤による原始卵胞活性化法が確立された。
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