2010 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌幹細胞の同定と難治性癌治療法開発への応用
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22791521
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 充宏 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (50377397)
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Keywords | 子宮内膜癌 / 幹細胞 / CD133 |
Research Abstract |
本年度は子官内膜癌における癌幹細胞マーカーの検索及びその意義について検討を行った。 表面マーカーであるCD133に注目し、子官内膜癌細胞株6種類についてCD133の発現をフローサイトメトリーにて確認をしたところ2種類の細胞株(Ishikawa、MFE80)に10-20%の頻度でCD133陽性細胞を認めた。これらの細胞についてCD133陽性、陰性細胞に分離し検討を行った結果、CD133陽性細胞は陰性細胞に比べ、著明な細胞増殖の亢進、in vitro、in vivoでの造腫瘍能そして抗癌剤の抵抗性を認めた。またCD133陽性細胞が自己複製に関与する遺伝子群の発現を有していること(自己複製能)やCD133陽性細胞のみが陽性細胞を継代できる(分化、不均等分裂)ことを確認した。これらの結果よりCD133陽性細胞が癌幹細胞としての特徴を有しておりCD133が子宮内膜癌細胞における癌幹細胞マーカーであることを同定した。さらに当科での子宮内膜癌症例による免疫組織学的検討の結果、CD133の発現はOverall survivalと有意に相関し独立した予後因子であった。 更なる癌幹細胞マーカーを同定するため種々のマーカーを用いて検討を行ったところ、CD44とHoechst33342 (Side popubtion)陽性の細胞が癌幹細胞としての特徴を有していた。CD133を含めた複数のマーカーを用いて癌幹細胞の絞り込みを行った結果CD133+/CD44+/Side populationの分画がより純化された癌幹細胞であることを突き止めた。 これらの結果は難治性子宮内膜癌のメカニズムの解明及び治療法の開発に大変有意義なものであると考えられる。 来年度は絞りこまれた子宮内膜癌幹細胞の特徴を分子生物学的に解析し重要なターゲット遺伝子を同定する。同定された遺伝子に対する分子標的治療法の基礎実験を行う。
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