2011 Fiscal Year Annual Research Report
組織マイクロアレイを用いた子宮肉腫における分子標的マーカーの同定
Project/Area Number |
22791540
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
澤田 守男 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60573748)
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Keywords | 癌 / 病理学 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
子宮体部癌肉腫は様々の治療に抵抗性で、予後が極めて悪い疾患である。その発生においては、上皮・間葉成分共に単一の上皮性悪性腫瘍細胞から発生するというsingle cell theoryが主流である。既に我々は、子宮体部癌肉腫においてEGFRやHER-2などの発現パターンが上皮・間葉成分で異なることを示してきた。本研究は、子宮体部癌肉腫の多数例を用いた組織マイクロアレイ(TMA)でEGFRおよびHER-2発現についての網羅的検索を行い、子宮体部癌肉腫診療における分子標的マーカーとなり得るかどうか検討した。 研究対象は、1997~2010年に治療を行った子宮体部癌肉腫症例63例。院内倫理審査委員会の承認を得て、手術切除標本のパラフィン包埋ブロックから上皮成分と間葉成分のコンポーネント別に、2mm径のコアからなる組織ブロックを打ち抜き、レシピエントブロックに並べて組織マイクロアレイを作製。それを薄切して、EGFRとHER-2タンパク発現を免疫組織化学的に検討した。 上皮成分のうちEGFRが+2以上の発現を示したのは、類内膜腺癌ではG1で18.2%、G2で33.3%、G3で75.9%であり、グレードの上昇と共に発現が増強する傾向にあった。また、漿液性腺癌では37.5%であった。肉腫成分におけるEGFR陽性例は73.1%(+1が17.9%、+2が25.6%、+3が29.5%)であり、肉腫成分ではEGFRタンパクの過剰発現傾向があることが示唆された。HER-2に関して+2以上の発現を示した部分はなかった。 TMAを用いた本検討では、間葉成分でEGFRの強発現が高頻度に認められ、上皮成分においては悪性度が高くなるほどEGFR発現が増強する可能性が示された。一方、HER-2の発現は本検討ではほとんど認められなかった。 以上より、子宮体部癌肉腫においてEGFRが診断や治療の分子マーカーとなる可能性が示唆された。
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Research Products
(31 results)