2011 Fiscal Year Annual Research Report
異所性子宮内膜症から卵巣明細胞癌および類内膜腺癌への悪性転化機構に関する検討
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22791545
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤羽 智子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (40398699)
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / HNF1-β / 子宮内膜症 / 卵巣類内膜腺癌 / 17番染色体 / 発癌機構 / 卵巣癌 / 特異マーカー |
Research Abstract |
卵巣明細胞癌および卵巣類内膜腺癌は病変組織切片内の同一視野内に子宮内膜症の共存が多いことから、子宮内膜症が両腫瘍の発癌母地である可能性が1925年より指摘されている。しかし、現在に至っても発癌機構の詳細は解明されていない。本研究は卵巣明細胞癌および卵巣類内膜腺癌において、子宮内膜症からの発癌機構を解明することを目的としている。我々はこれまでの研究にて、卵巣明細胞癌病変および付随する子宮内膜症細胞には、17番染色体または17番染色体上の遺伝子であるP53およびHepatocyte Nuclear Factor1β(以下HNF1β)の異常と高発現が検出されることを解明している(Akahane T et al.(Gyne Path 2007)。本年度も引き続きこれらの遺伝子について臨床検体および卵巣癌培養細胞株を用いた検討を行った。卵巣癌患者における検討では、165例の卵巣癌患者病変部のHNF1β蛋白発現を免疫組織学的手法にて検出し、陽性細胞をカウントして定量化を行い臨床病理学因子との関連について比較した。その結果、卵巣癌病変においてHNFF1βは卵巣明細胞癌に特異的発現し(p<0.001)、高発現例には子宮内膜症の共存が多かったことから(p<0.016)、HNFF1βは明細胞癌における特異的マーカーであり子宮内膜症からの発癌機構にも関与している可能性が示唆された。卵巣癌培養細胞株による検討ではHNF1β遺伝子の機能解析を行った。卵巣癌細胞株の増殖速度をMTTasseyにて比較したところ、卵巣明細胞腺癌株は他の組織型に比較し、増殖が速い傾向にあった。さらに明細胞癌細胞株6株について、HNF1β発現抑制を目的としsiRNAを遺伝子導入した細胞についてHNF1βmRNAの発現比較を行ったところ、発現現弱および細胞増殖抑制が認められた。本年度検討において卵巣明細胞癌におけるHNF1βの発現調節は腫瘍増殖抑制効果へとつながることが解明されたことから本結果を学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は子宮内膜症からの発癌に関与する遺伝子または蛋白を解明することのみであったが、研究期間中に目的としていた遺伝子及び蛋白についてはすでに解明を終了している。現在、解明した遺伝子の機能や増殖抑制効果を実証途中である。 本研究結果をさらに発展させ、最終的には創薬研究へと発展可能な状態にあることから、当初の計画以上に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で解明できた結果を卵巣明細胞癌における特異的分子標的治療を目的とした創薬研究へとつなげていく希望である。また、子宮内膜症患者における発癌前のリスク的因子の解明も行い、卵巣癌完治と患者QOLの向上を目指した研究を行いたい。
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Research Products
(4 results)