2010 Fiscal Year Annual Research Report
FGFR2IIIcアイソフォームの発現制御による子宮頸癌の新たな治療戦略
Project/Area Number |
22791552
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
彭 為霞 日本医科大学, 医学部, 助教 (00535700)
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Keywords | 子宮頸癌 / FGFR2IIIc / ERK MAPKシグナル伝達経路 / AKT PI3Kシグナル伝達経路 |
Research Abstract |
FGFR2IIIcは、FGFR2のアイソフォームの1つで、前立腺癌や膀胱癌においては、FGFR2IIIbからFGFR2IIIcへのクラススイッチが癌の進展に深く関与することが報告されている。これまでに、子宮頸部異形成および子宮頸癌組織を用いて、組織中でのFGFR2IIIcの局在について検討しており、子宮頸部異形成の進行にしたがってIIICの発現が高くなり、子宮頸癌においては全症例で過剰発現していることを報告している。また、培養子宮頸癌細胞の一つであるCaSki細胞にFGFR2IIIc発現ベクターを導入した安定過剰発現株を作成したところ、in vitroにおける細胞増殖能が亢進した。また、ヌードマウスの皮下移植モデルにおいても腫瘍形成能が亢進していることも報告している。 今回、FGFR2IIIcを介して子宮頸癌細胞の細胞増殖能を亢進させるシグナル伝達経路を検討した。FGFR2IIIc過剰発現CaSki細胞株を用いて細胞増殖に関わる主要なキナーゼであるERKとAKTの活性について確認を行った所、対照細胞株に比べてERK、AKTともに活性が亢進していることが明らかとなった。このことから、FGFR2IIIcによる子宮頸癌細胞増殖誘導にはERKとAKTの両方のシグナル伝達経路が関与していることが考えられ、FGFR2IIIcの発現または活性を抑制することは子宮頸癌の新たな治療法となる可能性が示唆された。 今後は、siRNAを用いたFGFR2IIIcの発現抑制や抗体を用いたFGFR2IIIcの活性抑制について培養細胞を用いたin vitroでの検討及びマウスを用いたin vivoでの検討を行い、新たな治療法の確立を目指す。
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