2010 Fiscal Year Annual Research Report
心不全モデル動物における妊娠・出産の影響とβブロッカー治療有効性についての研究
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22791559
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
神谷 千津子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 周産期・婦人科, 医師 (10551301)
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Keywords | 妊娠 / 循環器病 / 薬物治療 / 安全性 |
Research Abstract |
未曾有の少子化が進行するわが国にとって、安心安全な妊娠・出産を実現する医療は極めて重要である。先天性心疾患の治療が進歩し多くの患者が妊産年齢に至るようになったことや、妊婦の高齢化に伴って高血圧合併妊娠などが増えたことから、わが国における循環器疾患合併妊娠数は増加傾向にある。そこで、循環器疾患合併妊娠の病態を理解し、治療法を探索確立する基礎研究は極めて重要かつ急務の課題である。本研究の目的は、循環器疾患合併妊娠における妊娠・出産が母体へ与える影響と、当該疾患合併妊娠の治療上頻用されるβブロッカー療法の、母体への有効性と胎児への影響を臨床研究と基礎実験で検討することである。 平成22年度には、まず1982年から2008年に当院で分娩管理した心疾患合併妊娠1386症例において、妊娠分娩と内服薬が母体・胎児予後に与える影響をカルテベースで検討した。途中結果では、これまで高血圧合併妊娠において降圧薬としてβブロッカーを使用した場合に、子宮内胎児発育遅延が起こりやすいと報告されていたが、不整脈合併妊娠で器質的心疾患を有さない妊婦においては、このような胎児への影響は認めにくいことが判明した。 次に、心疾患モデル動物において妊娠分娩授乳が、心機能や循環動態に与える影響についての検討を開始した。ANP(心房性利尿ペプチド)・BNP(脳性利尿ペプチド)の受容体であるGuanylyl cyclase(GC)-A受容体を欠損した遺伝子改変マウスの雌が、妊娠授乳に伴って心拡大・心肥大を示し、これを心不全合併妊娠モデル動物とした。非妊娠群と妊娠群において超音波検査、病理組織調査を実施し、詳細な心機能の変化や心筋自体の変化を比較検討した。βブロッカー内服により、非内服と比較して母体長期予後、胎児予後に違いがあるかを検討する実験を開始した。
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