2010 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣明細胞腺癌の抗癌剤耐性克服を目的としたアネキシンA4阻害による癌治療法の開発
Project/Area Number |
22791560
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
金 雅子 独立行政法人 医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部・免疫シグナルプロジェクト, 研究員 (00571225)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / 疾患プロテオミクス / アネキシンA4 |
Research Abstract |
研究代表者は、卵巣明細胞腺癌細胞株を用いた研究において、非明細胞腺癌と比べてアネキシンA4が高発現を認めること、またアネキシンA4が卵巣明細胞腺癌における抗癌剤(シスプラチン)耐性に関わることを見い出した。当該年度(平成22年度-23年度)はさらに子宮体部腺癌においても、アネキシンA4の強制発現株では薬剤耐性が増大することをin vitro, in vivoで確認した。現在、アネキシンA4が薬剤耐性に関わる上で必須となる遺伝子部位を調べるため、アネキシンA4遺伝子の変異欠損株(Deletion mutation)を作成することで、アネキシンA4の薬剤耐性機序における機能解析を進めている。具体的には、アネキシンA4の発現していない卵巣癌細胞株OVSAHOに作成した3種類のアネキシンA4変異欠損遺伝子および全長遺伝子を導入、安定発現株を樹立し、コントロールベクター安定発現株と比較して薬剤耐性を調べる実験を進めている。各変異欠損遺伝子および全長遺伝子安定発現株間において、薬剤耐性に差を認めれば、薬剤耐性に関与する遺伝子部位を同定することになり、アネキシンA4の発現もしくは機能を抑制し薬剤感受性を効果的に高める化合物の同定など、創薬を目標としうる。このことは、臨床的に抗癌剤耐性で予後不良型とされる卵巣明細胞腺癌における新規治療法の開発につながり、非常に臨床的意義が高いと考える。
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