2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣明細胞腺癌の抗癌剤耐性克服を目的としたアネキシンA4阻害による癌治療法の開発
Project/Area Number |
22791560
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
金 雅子 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 研究員 (00571225)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / アネキシンA4 |
Research Abstract |
研究代表者は、卵巣明細胞腺癌細胞株では非明細胞腺癌細胞株と比べてアネキシンA4が高発現を認めること、またアネキシンA4が卵巣明細胞腺癌における抗癌剤(シスプラチン)耐性に関わることを見い出した。平成23年度では子宮体部腺癌においてもアネキシンA4の強制発現株では薬剤耐性が増大することをin vitro,in vivoで確認した。アネキシンA4を阻害することが薬剤耐性を改善することを明らかにするため、卵巣明細胞腺癌細胞株(RMG-I)を用いて、アネキシンA4のshRNAを安定発現させることで、アネキシンA4の発現を恒常的に抑制させた株(RMG-I-AnxA4shRNA)を樹立した。コントロールベクター導入株と比較し、アネキシンA4の発現を恒常的に抑制させた株ではin vitroにおいてシスプラチン、カルボプラチンに対するIC50が低下し、抗癌剤感受性が改善した。さらに、パクリタキセルやアドリアマイシンに対する感受性も改善を示した。ヌードマウスの皮下にRMG-I-AnxA4shRNA、および、RMG-I-control vectorを皮下移植↓、シスプラチン、PBSを投与し、腫瘍の増殖を解析した結果、アネキシンA4の発現を恒常的に抑制させたRMG-I-AnxA4では有意に腫瘍増殖が抑制され、抗癌剤感受性がin vivoでも改善していた。これらの結果は、臨床的に抗癌剤耐性で予後不良型とされる卵巣明細胞腺癌において、アネキシンA4を標的とした新規治療法が有望であることを意味しており、非常に臨床的意義が高いと考える。
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