2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡を用いた統合ナノ計測によるPrestinの構造変化メカニズム解明
Project/Area Number |
22791564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村越 道生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70570901)
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Keywords | 外有毛細胞 / Prestin / 膜タンパク質 / タンパク質モーター / 膜貫通構造 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
哺乳類の鋭敏な聴覚は,内耳に存在する外有毛細胞(outer hair cell: OHC)の伸縮運動に起因する.この運動能は,細胞側壁の膜タンパク質prestin(プレスチン)の構造変化で実現されると予測されている.しかし膜タンパク質の立体構造とその構造変化を計測する方法は確立されておらず,そのためprestinの構造変化メカニズムは解明されていない. そこで本研究では,原子間力顕微鏡(atomic force microscope: AFM)を用いてprestinの一分子構造および構造変化を直接計測できる技術を確立し,分子レベルでその構造変化メカニズムを解明することを目指す. 本年度はprestinの膜貫通構造を解析することを試みた.PrestinのC末端にペプチド標識(FLAGタグ)を付加し培養細胞に発現させた.抗FLAG抗体で修飾したAFMカンチレバーを細胞膜近傍へ接近させ,prestinとカンチレバーを結合させた.その後カンチレバーを引き上げることでprestinを細胞膜から引き抜き,カンチレバーに加わる力(フォースカーブ)を計測した.しかし期待されるフォースカーブは取得されなかった,これは,FLAGタグと抗FLAG抗体間の結合力が,prestinを細胞膜から引き抜くのに要する力よりも小さかったためであると考えられた. そこでより強固な結合を示すビオチン-アビジン結合によってprestinとカンチレバーを結合させることを試みた.ビオチン化タグを付加した細胞株を作製し,ストレプトアビジンで修飾したAFMカンチレバーを用いて同様の実験を行った.その結果,12回のフォースピークが観測された.これらピークの位置は,12回の膜貫通構造を想定したモデルから計算されるピークの位置と一致した.この結果は,プレスチンが12回の膜貫通構造をとっていることを示唆していると考えられる.
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Research Products
(13 results)