2011 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー病態惹起における長期生存型抗体産生細胞の形成および維持機構の解明
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22791572
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
稲嶺 絢子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特任研究員 (70466720)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 免疫学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 遺伝子 |
Research Abstract |
IgE抗体を介して病態が惹起される気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの新しい治療戦略である抗IgE抗体療法は日本においても有効性について高く評価され、欧米諸国ではすでに喘息治療薬として販売されている。その一方で、アレルゲン感作後の抗原特異的IgE陽性細胞の分化経路や感作発症後の長期に及ぶ抗原特異的IgE抗体価の維持機構についての詳細は明らかになっていない。アレルゲン感作成立後(予備軍)およびアレルギー患者では高親和性IgE抗体を産生するLL-Plasma細胞が優先的に分化誘導されており、その後IgE+LL-Plasma細胞が長期に渡り維持されることはアレルギー疾患の病因の一つになりうるのではないかと推察した。しかしながら、IgE型LL-Plasma細胞の産生経路については未だ詳細には解析されておらず、非常に不明な点が多い。これまでのIgE型Plasma細胞に関する報告についても、副鼻腔炎患者の鼻茸にはIgE型Plasma細胞が多数検出されたが、末梢血単核球からはIgE型Plasma細胞(前駆細胞も含めて)は検出できなかった。さらに、正常マウスを用いたアレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて抗原特異的IgE型Plasma細胞の局在を検討したところ、鼻炎発症時の局所リンパ節では抗原特異的IgE型Plasma細胞が検出されたが、骨髄中にはIgE型Plasma細胞がほとんど認められなかった。これまでに胚中心に局在するTfh細胞から大量に産生されるIL-21が、胚中心B細胞のLL-Plasma細胞への分化に重要な役割を果たしている可能性があることをIL-21R欠損マウスを用いて詳細に解析を行ってきており、IL-21刺激を用いた培養系におけるIgG抗体産生LL-Plasma細胞の分化誘導系を確立した。さらにはその系を用いた解析から、IL-21がIgE抗体産生LL-Plasma細胞への分化に重要である可能性が示唆された。 このIgE抗体産生のLL-Plasma細胞の形成機構を明らかにし、その機構を阻害する事ができれば、抗IgE抗体療法に代替する新たなI型アレルギー疾患の根治免疫療法が確立できると考えられる。 *平成23年度千葉大学優秀発明賞受賞稲嶺絢子
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Research Products
(12 results)