2011 Fiscal Year Annual Research Report
内耳におけるグルタミン酸代謝の解明と遺伝性難聴に関する研究
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22791588
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小口 智啓 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10377640)
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Keywords | グルタミン酸 / 内耳 / グルタミン・グルタミン酸サイクル / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
内耳(聴覚系・末梢前庭系)には様々な神経伝達物質が分布しており、聴覚・平衡覚の維持に重要な働きをしていると考えられている。特に求心系ではグルタミン酸が主たる神経伝達物質と考えられており、当教室からの報告も含め過去に多く報告されている。中枢神経系においては、グルタミン酸作動性神経の神経終末と周囲のグリア細胞の間で効率的にグルタミン酸代謝を行うための「グルタミン酸-グルタミンサイクル」が存在していることがよく知られており、内耳においても感覚細胞と支持細胞間に中枢と類似した「グルタミン酸-グルタミンサイクル」が存在している可能性が推測されている。内耳に関しては、グルタミン、グルタミン酸の存在、グルタミン酸トランスポーター、グルタミン酸レセプター、各種酵素などの存在は報告されているが、グルタミントランスポーターに関しては現在までに報告がなく、グルタミン酸-グルタミンサイクルの全容は未だ解明されていない。 平成23年度は、グルタミントランスポーターであるSAT1、SAT2グルタミントランスポーターの局在について継続して検討を行った。 免疫染色では、SAT1、SAT2共に蝸牛では内有毛細胞に、前庭では感覚細胞層に認められたことより、内耳においても神経伝達物質としてグルタミン酸を放出しており、感覚細胞においてSAT1、SAT2にて支持細胞から放出されるグルタミンの取り込みメカニズムが脳のグリア細胞と同様に存在することが推測することができた。またリアルタイムPCRを用いて、内耳におけるVGULT3、SINSの発現を確認した。得られた成果を取りまとめて論文として投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該タンパクの局在を免疫染色で確認するとともに、リアルタイムPCRを用いる事で内耳における発現を確認することが出来ており、内耳でも中枢と同様にグルタミン・グルタミン酸サイクルが機能している事を明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
前年までに発現が確認された各遺伝子に関してその詳細な局在を免疫電顕で確認するとともに、遺伝性難聴の原因となっている可能性に関して検討を行う。
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