2011 Fiscal Year Annual Research Report
毛根cDNAを用いたアッシャー症候群・難聴の簡易精密遺伝子診断法の確立
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22791589
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中西 啓 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20444359)
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Keywords | 遺伝子 / 網膜色素変性症 / 感音難聴 / アッシャー症候群 / 毛根 |
Research Abstract |
アッシャー症候群(USH)は、感音難聴に網膜色素変性症を合併する常染色体劣性遺伝性疾患である。USHは難聴の程度と前庭障害の有無などの臨床症状により、タイプ1からタイプ3の3つのタイプに分類され、さらに原因遺伝子がマッピングまたはクローニングされたものはサブタイプに分類されている。現在までに、タイプ1B~1H、タイプ2A、2C、2D、タイプ3A、3Bの12のサブタイプが知られている。 臨床症状よりアッシャー症候群タイプ2と診断した患者を対象として、タイプ2の原因遺伝子であるUSH2Aの遺伝子解析を行った。平成23年度は、7人の患者において6種の疾患原因と考えられる変異を同定した。平成22年までに12人の患者において同定した17種の変異と合わせて解析を行った。 19人中15人の患者で23種の疾患原因と考えられる変異を同定した。19種は新規であり、そのうち1種(c.8559-2A>G)は4人に共通する変異で、本邦における高頻度変異の可能性が示唆された。この変異が創始者効果によるものか検討するため、変異を同定することができた15人の患者において、ハプロタイプ解析を行った。c.8559-2Gアリルでは、同塩基の前後635kbにわたってハプロタイプが同じであったが、c.8559-2Aアリルではそれぞれのアリルにおいてハプロタイプは全く異なっていた。 ハプロタイプ解析において、c.8559-2Gアリルでは、635kbにわたってハプロタイプが同じであり、本変異は創始者効果によるものと思われた。変異を同定することができた15人の患者の出生地を検討したところ、c.8559-2A>Gをもつ4人の患者は全て出生地が西日本であった。さらに、本変異は2人の中国人患者においても同定されており、西日本のみならず東アジアにも分布していることが考えられ大変興味深い。
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