2011 Fiscal Year Annual Research Report
内耳感覚上皮の網羅的遺伝子発現プロファイリングと再生への応用
Project/Area Number |
22791595
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 助教 (70378644)
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Keywords | 内耳発生 / Notchシグナル / プロスタグランジン |
Research Abstract |
近年再生医療的手法を用いて、再生不可能といわれてきたさまざまな臓器を再生する試みがなされているが、感音難聴の主たる責任部位である内耳感覚上皮に関してはいまだに有効な手段の開発にいたっていない。本研究では内耳発生に関わるといわれるNotchシグナルを遮断したマウスを用いてその表現型を解析し、通常マウスの内耳上皮と遺伝子発現パターンと比較することにより有毛細胞や支持細胞の性質を解明した。また、内耳では隣接する細胞が1つの細胞単位で異なり、多種多様の有毛細胞や支持細胞の存在するため、上皮レベルだけでなく、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析が必要となる。上皮レベルでの網羅的遺伝子発現解析のために用いるNotchシグナルの内耳特異的遮断マウス(Rbpj cKOマウス)は、従来のNotchシグナル遮断マウスに比べてより完全なシグナル遮断を可能にする。その内耳では、有毛細胞が蝸牛回転のうち頂回転にしか存在せず、また、内外2種類の有毛細胞のうち、内有毛細胞しか形成されず、支持細胞も一部を除き形成されなかった。以上の成果はDevelopmental Biology誌に掲載された。また、さまざまな臓器発生に重要な生理活性物質プロスタグランジンEの受容体の一つである、EP4のノックアウトマウスを解析したところ、同腹のWildtypeマウスに比べて、聴覚が劣ることがわかった。EP4ノックアウトマウスの聴覚低下の原因は、外有毛細胞の消失であった。このことからプロスタグランジンEはEP4受容体を介して、生理的に内耳有毛細胞の保護を担っていることが明らかになった。以上の成果はNeuropharmacology誌に掲載された。 さらに、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子解析のため、蝸牛の有毛細胞や支持細胞の単離を行い、RNAを抽出し、cDNAをLinearに増幅させる条件の設定を行う実験を、胎生のマウス蝸牛において行った。
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