Research Abstract |
赤外線CCDカメラの画像をパソコンに取り込み,フリーウエアの画像解析ソフトを用いてvideo-oculography (VOG)を行った。解析には独自のマクロプログラムを作成し,眼振の急速相と緩徐相を認識し,眼振の速度,頻度,振幅,周波数など各種パラメータを数値化し,眼振の定量的評価システムの構築をすすめた。 画像の取り込み方法は,赤外線CCDカメラで眼球運動を撮影し,AD変換を行って1秒間30フレームでApple社製PCに取り込んだ。解析ソフトはImageJを用い,ファイルメーカーと連動させて当該眼球運動ファイルを開くことができるようにした。ImageJによる画像解析は当科で開発したマクロプログラムを用いた。定量的評価としては,30分の1秒毎の眼球の位置座標のデータから,微分した速度データを算出し,原波形,速度波形の眼振図を作成した。眼振を認識し,眼振速度や持続時間など眼振各種パラメータの計算を行った。眼振認識方法は,水平成分と垂直成分の値(角度)から,平面上の瞳孔重心点の移動距離を30分の1秒毎に計算し,その移動速度が0度毎秒を超えた場合を急速相として判定した。急速相の始点から終点に向かう方向を眼振矢印の方向とし,平面上の水平軸に対する傾きを眼振矢印の傾きとして,眼振1打毎の平均値を求めた。急速相の始点と終点の移動距離から眼振1打毎の平均振幅を計算し,急速相の出現回数から1秒毎の平均眼振数を計算した。回旋性眼振の方向・振幅・頻度については,三次元解析の中の回旋成分から計算した。解析した画像全体の中に占める時計回転と反時計回転の割合を計算し,占める割合が多い方向を緩徐相,少ない方向を急速相として判定した。次に,緩徐相側の回旋角度から眼振1打毎の平均振幅を計算し,時計回転と反時計回転の折り返しの数から1秒毎の平均眼振数を計算した。 市販のCCDカメラと汎用PC,フリーウエアのソフトを用いて,日常診療で簡便に低コストで,定量的評価を含めてVOGを行うことが可能となった。簡便に行えるため,初診時から毎回の診察で検査をすることが可能となった。より広くデータを集めて臨床解析に応用でき,診断や病状把握に大変有用となると考えられる。
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