2010 Fiscal Year Annual Research Report
老人性難聴モデルにおける凝集体形成の研究と分子シャペロンに着目した治療戦略の確立
Project/Area Number |
22791606
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
御厨 剛史 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00467797)
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Keywords | 分子シャペロン / 内耳保護 / 老人性難聴 / 凝集体 |
Research Abstract |
【研究目的】 1.老人性難聴モデルマウスと対照マウスを用いて凝集体形成が加齢とともに増加するかどうか、モデル間の難聴進行の程度と凝集体形成の増加に関連があるかどうかを検討した。 【方法と結果】 雄マウスDBA/2J,C57BL/6を用いた.当大学実験施設で4週齢から飼育し,8から32週で評価した.凝集隊の評価は共染されるHsp70の抗体で免疫組織化学を行い検討した.対照マウスであるC57BL/6は32週齢で高音域から難聴を示すころである。このときのらせん神経節では8週齢と比較しストレス蛋白質であるHsp70発現が増加していた。また、凝集体も増加していた。蝸牛の他部位には凝集体はみられなかった。早期加齢性難聴モデルであるDBA/2Jは4週齢から既に難聴を示し、32週齢の段階では全域でほぼ聾に近くなるものである。このモデルでは20週の段階でらせん神経節細胞の多数の消失をみとめ、残存細胞ほぼすべてに凝集体の存在を認めた。またHsp70発現の増加はほとんど認めなかった。 【意義】 正常な老化でも、内耳にHsp70が高発現されること、凝集体が軽度みとめることがわかった。これに対し病的モデルでは凝集体が高度に生成されていることがわかり、Hsp70の誘導はみとめないこともわかった。これらのことはHsp70高発現が維持できれば難聴の進行を抑制するという本研究者の過去のデータと一致する。しかし、凝集体が多いほうが良いのかどうか、凝集体の構成物質については今後の検討課題である。
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