2011 Fiscal Year Annual Research Report
老人性難聴モデルにおける凝集体形成の研究と分子シャペロンに着目した治療戦略の確立
Project/Area Number |
22791606
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
御厨 剛史 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00467797)
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Keywords | 凝集体 / 熱ショック応答 / 老人性難聴 / 熱ショック蛋白質 |
Research Abstract |
【研究目的】 老人性難聴モデルマウスと対照マウスを用いて熱ショック応答誘導剤を投与し、難聴の進行の抑制と、凝集体形成の程度を評価し、凝集体形成の役割を解明する。 【方法】雄マウスDBA/2Jを用いた。当大学実験施設で4週齢から飼育し,8から20週で評価した.凝集体の評価は共染されるHsp70の抗体で免疫組織化学を行い検討した.熱ショック応答誘導剤であるゲラニルゲラニルアセトン(GGA)をO%、0.5%と投与した。難聴の程度は聴性脳幹反応で評価した。凝集体は共染されるHsp70の免疫染色で評価した。 【結果】GGA投与したものは難聴の進行が抑制された。8週齢のらせん神経節ではストレス蛋白質であるHsp70発現が増加していた。また、凝集体も増加していた。蝸牛の他部位には凝集体はみられなかった。 【考察】 熱ショック応答を誘導すると難聴の進行が抑制できたことは、以前報告したモルモット音響障害モデルと同様の結果であった。今回はこの条件下で凝集体形成が増加、また周囲のHsp70が増加していることから考えると、Hsp70、凝集体が保護的に働いている可能性が示唆された。凝集体は神経変性疾患ではキーワードの物質であるが、内耳においてこのような病因にかかわっている可能性を示唆した報告は申請者がはじめてである。今後内耳障害の病態解明または治療戦略として凝集体がターゲットになりうる可能性を示したといえる。
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