2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791614
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 昌宏 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10347156)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 副鼻腔内反性乳頭腫 / 乳頭腫ウイルス / 扁平上皮癌抗原 |
Research Abstract |
昨年度の研究から,血中扁平上皮抗原の測定が内反性乳頭腫(IP)診断に有用であること,また乳頭腫発生,癌化に乳頭腫ウイルス,特にHPV16が関与している可能性が強く示唆された。そこでさらにIPと扁平上皮癌の合併例,扁平上皮癌例,その他の鼻副鼻腔疾患について解析を進めた。(結果)鼻副鼻腔疾患121例にPCR法を用いてHPV感染を調査した.炎症性疾患6.0%,IP29.4%,EP66.6%,IP+扁平上皮癌合併40.0%,上顎扁平上皮癌25.0%にHPVが検出されたが,円柱上皮性乳頭腫(CP),血管腫,非上皮性悪性腫瘍では検出されなかった.さらにIP,上顎扁平上皮癌で検出されたHPVはHPV-16,-18,-33型であり,いずれもハイリスク型HPVであった.鼻副鼻腔疾患121例中17例(14%)にHPVが検出されたが,このうち13例(76.4%)がHPV-16であった.代表的なHPV-16の感染ウイルス数を検査(コピー数/50ng genomic DNA)すると,炎症性疾患5~91,IP2~74,IP+扁平上皮癌1524~7953,上顎扁平上皮癌35~594であった.50ng genomic DNAが約8000個の細胞に相当すると仮定すると,IP検体1細胞あたりの感染ウイルスは0.0003~0.009個となる.マイクロダイセクション法ではないため,検体サンプルには腫瘍以外の組織も含まれているが,同様の方法でHPV-16陽性扁桃癌を計測すると1細胞あたり平均51.6個であり,明らかにウイルス数は上顎扁平上皮癌,IPでは少なかった.しかし,IPや炎症群ではintegrationを示さない例が多いのに対し,IP+扁平上皮癌,上顎扁平上皮癌では全例がintegrationを示し,感染ウイルス数も多い傾向を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)内反性乳頭腫の癌化にヒト乳頭腫ウイルス感染が関与する可能性が強く示唆されるデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト乳頭腫ウイルス感染を調査した標本についてEBウイルス感染をPCR法とin situ hybridization法を用いて検討中であり,共感染と発癌との関連を下記明らかにする予定である。
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