2010 Fiscal Year Annual Research Report
内耳再生および内耳における超常磁性体酸化鉄ラべリング移植細胞の追跡法の検討
Project/Area Number |
22791629
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和多田 有紀子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30567508)
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞(MSC) / 超常磁性体酸化鉄(SPIO) / 内耳再生 / SPIOラベリング |
Research Abstract |
1、研究目的 従来、治すことは出来ないと考えられてきた感音難聴に対し、内耳感覚細胞の再生によって内耳機能の回復を目指す再生医療は非常に期待されるものである。今回、我々は骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;以下MSC)を用いた移植による内耳有毛細胞の再生を目指した研究を開始するにあたり、再生後の臨床応用には移植細胞のモニタリング方法の確立は必要不可欠であると考えた。ところが、有毛細胞の再生に関する報告は他にも散見されるものの、内耳における移植細胞のモニタリング方法についての報告は未だない。そのため、本研究では内耳におけるモニタリング方法の確立を目的として、すでに臨床で用いられている超常磁性体酸化鉄(Super Paramagnetic Iron Oxide;SPIO)を成分とするMRIの造影剤をMSCにラベルし、内耳に移植、MRI画像において移植細胞の追跡、生体内動態の把握は可能であるかについて検討を行うこととした。本研究の目指すモニタリング方法の確立は内耳再生の臨床応用において非常に有意義であり、これにより内耳再生の研究は飛躍的に発展するものと考えている。 2、研究方法 SPIOをラベルしたMSCをモルモット内耳に移植し、移植直後、2週後、4週後とMRI撮影を行い移植部位の信号強度測定による定量的な画像評価を行った。加えて、各々の経過において蝸牛を摘出し組織評価(HE染色、ベルリンブルー染色)を行った。 3、研究成果 信号強度測定による比較検討において移植部位は非移植部位と比べて有意差をもって確認可能であった。また組織所見においても鼓室階を中心にSPIOの存在を示すベルリンブルー陽性細胞を認め、画像所見と矛盾しない結果であった。更に、移植4週後には蝸牛軸やらせん神経節領域に一部の陽性細胞の存在が確認され、移植細胞の移動、生着を期待させる所見も得られた。以上の結果は現在、論文投稿準備中の段階である。
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