2011 Fiscal Year Annual Research Report
中耳粘膜の血流動態が中耳腔全圧に及ぼす影響に関しての研究
Project/Area Number |
22791634
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
内水 浩貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00307414)
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Keywords | 中耳 / 中腔全圧 / 動物実験 / 血流動態 |
Research Abstract |
ウサギを用いた動物実験にて、中耳粘膜毛細血管内の血流動態の変化が中耳腔全圧(以下、全圧と略す)の変化に及ぼす影響を検討した。 側頭骨を冷水にて冷却した際の血流動態は、組織血流量は8.92±5.3、組織血液量は248.6±115.6、血流速度は1.22±0.26であった。冷却時の全圧最大値は11.1±2.3mmH20であった。 側頂骨を温水にて保温した際の血流動態は、組織血流量は12.2±8.8、組織血液量は265.2±179.7、血流速度は1.58±0.91であった。保温時の全圧最大値は12.1±1.85mmH20であった。 中耳粘膜の血流動態は、冷却時に比べ保温時で組織血流量、組織血液量、血流速度ともに高い傾向が認められた。また全圧最大値でも保温時の方がやや高い傾向を示したが、統計学的な差は認めなかった。 また血流動態の変化が経粘膜的なガス交換のどの部分に影響を及ぼすかを検討するために、経粘膜的な二酸化炭素の拡散率を表す全圧上昇率と酸素の吸収率を表す全圧減少率について検討した。上昇率は冷却時では平均3.36mmH20/分、保温時では平均3.97mmH20/分であり、冷却時に比べ保温時に上昇率が高い傾向が認めた。一方で減少率は冷却時では平均0.66mmH20/分、保温時では平均0.52mmH20/分であり、冷却時の方が高い傾向を認めた。 これらの結果は、正常な中耳粘膜では中耳粘膜毛細血管の血流が増加すると経粘膜的な二酸化炭素の拡散が増加する一方で酸素の吸収は抑制され、その結果全圧最大値が増加する可能性が示唆される。しかし現時点でのデータでは統計学上の有意差は出ておらず、引き続きのデータ採取が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中粘膜の組織血流量、組織血液量、血流速度の変化が冷却時に比べ保温時で高い傾向を認めるが、統計学的な有意差が出てこないため。
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Strategy for Future Research Activity |
保温時と冷却時の血流動態の変化に統計学上の有意差出るように、保温の際の温水の温度をこれまでよりも上げ、さらに保温および冷却時間を長く行った上で引き続き症例数を増やして検討する。
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