2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい虚血再灌流動物を用いた、内耳虚血の高圧酸素、エダラボン同時投与の治療効果
Project/Area Number |
22791637
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
乾 崇樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60465614)
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Keywords | 蝸牛内直流電位 / 高圧酸素療法 / エダラボン / 内耳虚血 |
Research Abstract |
突発性難聴をはじめとする内耳性難聴の原因、病態の一つとして、内耳における虚血性病変が唱えられている。本研究では、独自に開発したモルモット内耳虚血再灌流モデルを用い、虚血による蝸牛血管条の障害に対する高圧酸素療法およびフリーラジカルスカベンジャー投与の同時施行が、各々の単独施行よりも有効な治療効果を有するかを評価検討し、病態の解明および治療に結びつけることを目的として実験を行った。 本年度は、週齢3週のモルモットを用い、独自の虚血再灌流モデルモルモットの確立を試み、主として手技確立のための予備実験を行った。内耳は前下小脳動脈より分岐する内耳動脈から血流を受けているため、この血管から内耳血流をコントロールすることを試みた。モルモットを麻酔したのち、内耳動脈へ後頭部よりアプローチした。露出した内耳動脈に希釈したエピネフリン液を滴下し、これによる血管収縮により内耳虚血を誘発した。血液の再灌流は、エピネフリン液を吸引除去し、さらにアセチルコリンを含む液を滴下して血管拡張を促すことで誘発した。この手法の有用性を評価するため、腹側より側頭骨内耳骨胞を開放して蝸牛を露出させ、レーザードップラー法による蝸牛血管条周囲の血流の測定と、電気生理学的手法による蝸牛内直流電位(EP)の測定を行った。この結果、内耳動脈へのエピネフリン液投与により蝸牛血流の低下とEPの低下が観察された。 この手法は今後さらなる改良が必要であるが、内耳血流のコントロールについては良好な結果を得ている。したがって、次年度以降の虚血状態における高圧酸素療法およびフリーラジカルスカベンジャー投与の同時施行の効果を評価するために、きわめて有用な手段であることが確認された。
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