2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい虚血再灌流動物を用いた、内耳虚血の高圧酸素、エダラボン同時投与の治療効果
Project/Area Number |
22791637
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
乾 崇樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60465614)
|
Keywords | 内耳性難聴 / 虚血性病変 / 高圧酸素療法 / フリーラジカルスカベンジャー |
Research Abstract |
突発性難聴をはじめとする内耳性難聴の病態の一つとして、内耳における虚血性病変が唱えられている。本研究は、モルモットを用いて内耳虚血モデルを作成し、虚血による蝸牛血管条障害の病態を解明し、治療法の開発にかかわる手がかりを得ることを目的としてきた。 平成22年度は、週齢3週のモルモットを用い虚血モデルモルモットの作成と実験手技の確立を試みた。さらに平成23年度は、前年度に確立した虚血再灌流モルモットを(1)コントロール群、(2)非特異的プロティンキナーゼ阻害剤投与群、(3)Aキナーゼ阻害剤投与群、(4)Cキナーゼ阻害剤投与群の4群に分け、蝸牛内直流電位(EP)について評価を行った。各群での一過性内耳虚血は、ベンチレーター停止により無呼吸とすることで、低酸素および心機能低下による低灌流状態を誘発した。ベンチレーター停止による無呼吸負荷を行うと、コントロール群では+80 mV程度であったEPは、90秒以内に0 mV以下に低下するが、内リンパ腔に非特異的プロティンキナーゼ阻害剤を投与するとEP低下が著明に低下するため、虚血状態では何れかのプロティンキナーゼが活性化してEP低下を引き起こすものと考えられる。そこで、虚血状態で活性化するプロティンキナーゼを同定するために、AキナーゼおよびCキナーゼに関して検討を加えた。Aキナーゼ阻害剤投与群では無呼吸負荷によるEP低下は抑制されず、呼吸再開時のEPの回復が著明に抑制された。しかし、Cキナーゼ阻害剤投与群では無呼吸負荷によるEP低下が著明に抑制されたため、虚血状態では血管条を構成する細胞においてCキナーゼが活性化することでEPが低下するものと考えられた。したがって、drugdelivery system等を用いて内耳にAキナーゼ活性化剤やCキナーゼ阻害剤を投与することが出来れば、虚血による内耳障害を防止出来る可能性が示唆された。
|