2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害による白血球接着分子PSGLー1動態の解析
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22791643
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 航介 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90296666)
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Keywords | VEGF阻害薬 / 白血球ローリング / 加齢黄斑変性 |
Research Abstract |
現在の滲出型加齢黄斑変性に対する治療薬には、抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)製剤の硝子体投与がある。本薬剤投与により動脈血栓塞栓に関連する有害事象(心筋梗塞など)が出現する可能性が示唆されている。本研究計画の目的は上記副作用の発症メカニズムを解明することであり、その方法としてAutoperfused Micro Flow Chamber Systemを用いることによって血管側接着分子の条件を一定化して、抗VEGF抗体投与後のP-selectin counter ligandsの機能変化を検討する予定であった。しかしながら、昨年度はAutoperfused Micro Flow Chamber Systemに接続したマウスの血流が安定しないという事象が生じ、実験施行が困難となっていた。 その対策としてヘパリンの前投与をおこなったところ実験系の安定が得られたため、本年度は研究計画「抗VEGF抗体投与群と非投与群におけるP-selectin coated chamber上での白血球ローリングの比較」をおこなった。評価系として、P-selectin coated chamber上の白血球ローリング速度の比較、そして一定時間後(10分後)に同glass chamberに付着している白血球数を比較をおこなうことでP-selectin counter ligandsの機能変化を検討した。結果として、抗VEGF抗体投与群と非投与群における白血球ローリング速度および付着白血球数には差を認めることができなかった。このことは、近年報告のあったVEGF阻害によって白血球ローリングの増加が生じるという現象は、P-selectin counter ligandsの機能変化によるものではないことを示唆していた。
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