2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞外マトリックスタンパク質による神経再生の分子基盤解明と緑内障治療への応用
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22791651
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
郡山 恵樹 金沢大学, 医学系, 助教 (70397199)
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Keywords | 緑内障 / 神経再生 / 神経生存 / プルプリン / 細胞外マトリックス / 網膜 / 接着因子 / 視神経 |
Research Abstract |
効率よく中枢神経修復・再生させるには(1)細胞死からの回避作用、(2)細胞外マトリックス安定化作用、(3)栄養因子や接着因子を含む遺伝子発現、(4)軸索再伸長作用といった4つの主な条件が必須であり、神経損傷によるそれらの破綻が神経の脱落を誘引し再生を困難にさせる。つまりこの4条件を満たす作用を持つ分子は中枢神経再生を誘導する可能性があると提唱している。 我々が見つけた新規接着分子プルプリンのラット視神経損傷後の網膜神経節細胞(RGC)におけるシグナルがまだ解明できていないため、本年度は引き続きその解析を行った。 緑内障治療への実用化のためにはそれらの下流シグナル解明と神経修復・再生の関連性について可及的速やかな解析が必要とされ、予試験的な結果から想定したシグナルについて精査。 in vitroにおけるプルプリンの刺激する細胞内シグナルについて精査する。特に、前述した神経再生への4条件に着目し、プルプリンシグナルを解析する。(1)生存:プルプリンは接着斑キナーゼと生存シグナルAktを損傷初期に活性化した。(2)接着作用:上流分子としてはプルプリンの細胞外マトリックス分子、ラミニンへの安定性が考えられた。(3)マトリックスメタロプロテアーゼの活性化をプルプリンは押きえラミニンのレベルを上昇させた。(4)軸索伸長:FAK過剰発現経、機能欠損系(FRNK)におけるプルプリンの軸索伸長作用が確認できた。FAKの下流におけるチュブリン重合促進系の軸索伸長実行分子(CRMP-2、GSK-3betaの不活性化)についても確認した。以上のことからプルプリンは視神経損傷後の網膜神経節細胞の生存を高めるだけでなく細胞接着因子依存的な軸索伸長効果を持ち合わせるため神経再生を促すことに成功した。本分子やそのメカニズムの一部が将来的な緑内障をはじめとする難治性の眼疾患の治療に貢献できることを期待する。
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Research Products
(6 results)