2010 Fiscal Year Annual Research Report
実験的緑内障濾過手術におけるハニカムフィルムの有用性
Project/Area Number |
22791652
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥田 徹彦 金沢大学, 附属病院, 助教 (10361990)
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Keywords | ハニカムフィルム / 緑内障 / トラベクレクトミー |
Research Abstract |
コントロール、MMC、ハニカムフィルムの3グループに分け、各10眼に緑内障濾過手術を行った。そして手持ち眼圧計(トノペン)による眼圧測定、超音波生体顕微鏡(UBM)による濾過胞の形状観察、レーザー生体共焦点顕微鏡(HRT II)による結膜上皮の観察を行い、経過観察終了後に組織学的検討を行った。長期経過観察での検討のため経過観察期間は3カ月とした。MMCとハニカムフィルム眼ではコントロールよりも有意な眼圧下降が得られた。MMCとハニカムフィルム眼では眼圧下降に有意差は見られなかった。ハニカムフィルム眼では、術後3カ月でもUBMにおいて濾過胞はしっかりとした形状を保っていた。またMMC眼では結膜上皮細胞が大きく障害され、HRT IIでは結膜上皮細胞の不整形大型化や、部分的な結膜上皮細胞の欠損を認めた。結膜上皮細胞の面積は有意にハニカムフィルム眼やコントロール眼より大きくなっていた。組織学的にもMMC眼では結膜上皮の脆弱化や部分的欠損を認めたが、ハニカムフィルム眼やコントロール眼では健常な結膜上皮を維持していた。以上よりハニカムフィルムを使用した緑内障濾過手術では、術後3カ月でも結膜上皮に障害を与えることなく濾過胞を維持し、MMCと同等の眼圧下降が得られることが分かった。またMMC眼では結膜上皮の脆弱化がみられ、HRTIIで結膜上皮細胞の不整形大型化みられた。ハニカムフィルムを使用することにより術後長期に渡ってもMMCよりも安全に眼圧下降を得られる可能性が示された。動物実験ではこのように結膜上皮細胞の不整形大型化みられたという報告はなく、これはMMCの使用による術後感染症に関するリスクファクターを知る所見として非常に重要であると思われる。
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Research Products
(2 results)