2010 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞から網膜色素上皮細胞への分化・増殖における転写因子Tead1の機能解析
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22791669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 道憲 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30314496)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 細胞増殖 / ES細胞 / 転写因子 |
Research Abstract |
当研究は、ES細胞から網膜色素上皮細胞への分化・増殖過程におけるTead1の機能を、ヒトSCRAにおいて見出された変異Tead1を用いて解析し、内在性Tead1がその過程において果たしている機能を明らかにすることを目的とした。Tead1あるいはその変異型Tead1発現誘導ベクターを構築し、マウスES細胞EBRTcH3へ導入後、マーカー選択により目的のES細胞株を樹立したが、同ES細胞から網膜色素上皮細胞への分化誘導について予想通りの成果が得られなかった。そこで、妊娠18.5日目のマウス胎児より網膜色素上皮細胞の初代培養を試み、その培養細胞に対してレトロウイルスにより外来的に遺伝子発現ベクターを導入するシステムの確立を試みた。その結果、継続的な培養による網膜色素上皮細胞の増殖は困難であったが、一過性にTead1あるいはその変異型Tead1を発現し、同細胞の増殖速度を数日間にわたり測定できる事を確認した。また、PCNA,Ki67等の細胞増殖マーカー遺伝子の発現を確認すると同時に、定量PCRによりTead標的遺伝子である結合組織増殖因子CTGF,分泌蛋白質Cyr61の発現を定量する系を確立した。さらに、胎生期の眼組織形成期におけるTead転写因子、YAP/TAZ転写共役因子の発現部位をin situ hybridizationにより解析し、胎児期後期から出生後7日目までの各遺伝子の発現時期を明らかにした。その結果、Tead1,YAP,TAZは胎生期後期から出生直後まで継続的に発現が認められた。次年度は、当年度に確立した網膜色素上皮細胞の増殖過程におけるTead1/変異型Tead1の発現誘導と機能解析を行い、同過程におけるTead1の生理的機能と分化・増殖における位置付けを解明する。
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