2011 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞から網膜色素上皮細胞への分化・増殖における転写因子Tead1の機能解析
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22791669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 道憲 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30314496)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 細胞増殖 / ES細胞 / 転写因子 |
Research Abstract |
当研究は、ES細胞から網膜色素上皮細胞への分化・増殖過程におけるTead1の機能を、ヒトSCRAにおいて見出された変異Tead1を用いて解析し、内在性Tead1がその過程において果たしている機能を明らかにすることを目的とした。当初予定していたTead1あるいはその変異型Tead1を薬剤誘導性に発現するES細胞株の樹立が困難であったため、妊娠18.5日目のマウス胎児より得た網膜色素上皮の初代培養細胞を用いて機能解析を行った。その結果、Tead1の発現は網膜色素上皮細胞の増殖に影響を与えなかったが、変異型Tead1の発現は同細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。また、定量PCRによりTead標的遺伝子である結合組織増殖因子CTGF,分泌蛋白質Cyr61の発現を定量したところ、変異型Tead1の発現により、網膜色素上皮細胞におけるCTGF,Cyr61遺伝子の発現は減少する事が明らかとなった。昨年度の解析結果から、Tead1,YAP,TAZは胎生期後期から出生直後までの網膜色素上皮細胞層において継続的に発現が認められたが、出生後にはそれらの発現がほとんど検出されなかった事と、今年度のTead1あるいはその変異型Tead1の網膜色素上皮細胞における機能解析を合わせて考察すると、マウス胎生期の眼組織の網膜色素上皮細胞において、Tead1,YAP,TAZの発現が同細胞におけるTead標的遺伝子の発現制御に関与し、その細胞増殖に重要な役割を果たしている事が示唆される。
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