2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光眼底自発蛍光撮影を応用した網膜色素上皮の超早期機能異常検出法の確立
Project/Area Number |
22791676
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
古泉 英貴 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (20551500)
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Keywords | 眼底自発蛍光 / 網膜色素上皮 / 黄斑 / 近赤外光 / 網膜感度 |
Research Abstract |
本研究は種々の黄斑疾患において、従来用いられていた青色光に加えて近赤外光を励起光として用いた眼底自発蛍光所見と微小視野計により得られた網膜感度との相関を検討し、最終的には縦断的研究にて近赤外光を用いた眼底自発蛍光撮影を網膜感度低下に先行した超早期の網膜色素上皮の機能異常検出法として確立することを目的としている。昨年度に引き続き、各種黄斑疾患、とりわけ社会的失明原因として重要な滲出型および萎縮型加齢黄斑変性と病的近視眼を中心に前述の2種類の波長を用いた眼底自発蛍光撮影写真と微小視野計での網膜感度マップのとのオーバーレイによる比較検討を行った。その結果、網膜色素上皮細胞の保護作用を有するとされるメラニンの多寡を視覚化可能な近赤外光を用いた撮影においてより広範な部位に低眼底自発蛍光所見がみられ、また同部位では検眼鏡所見や蛍光眼底造影、および青色光で撮影した自発蛍光所見で全く異常がみられない部位でも微小視野計での網膜感度低下を認めた。その結果は加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管のサブタイプに関わらず、また加齢黄斑変性の僚眼や病的近視眼においても同様の傾向が認められた。すなわち網膜色素上皮細胞内でのメラニン含有量減少は青色光を用いた撮影で検出可能なリポフスチンの蓄積よりも先行する変化であり、超早期の網膜色素上皮細胞の代謝状態の変化、およびそれに伴う視機能低下の有用なマーカーとなりうることが示唆された。
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