2010 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB-1を介した難治性網膜ぶどう膜炎の炎症制御と網膜保護の可能性
Project/Area Number |
22791685
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渡邊 交世 杏林大学, 医学部, 助教 (90458901)
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Keywords | HMGB-1 / DAPMs / ぶどう膜網膜炎 |
Research Abstract |
難治性ぶどう膜網膜炎の代表であるベーチェット病は閉塞性網膜血管炎を基盤とし、眼底型の眼発作を繰り返すことにより、徐々に黄斑部や視神経に萎縮性変化をきたす視力予後不良の疾患である。視機能を維持・向上させるためには炎症反応の制御に加えて、閉塞性血管炎による循環障害からいかに神経網膜、視神経を保護するかが重要な課題となる。最近、我々は感染や外傷時の免疫賦活化に関与する内因性リガンド機能分子(damage-associated molecular pattern : DAMPs)に着目し、難治性ぶどう膜炎の動物モデルとして知られる実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を発症したラットの眼局所で、DAMPs分子の中でも強い組織障害性を有するHigh Mobility Group Box (HMGB)-1が炎症極期で急激に上昇することを見出した(Watanabe et al. Invest Ophthalmol Vis Sci.50 : 2283-90, 2009)。平成22年度はEAUと並んで、ヒトぶどう膜炎の動物モデルとして知られるエンドトキシン誘発ラットぶどう膜炎(EIU)におけるHMGB-1の発現について免疫染色法にて検討を行った。その結果、無処置のラットに比べて、BIUを誘導したラット角膜や虹彩、毛様体、前房内においてHMGB-1陽性の炎症細胞が多数認められた。さらに細胞の核内だけでなく細胞質内においてHMGB-1陽性の所見を得た。 さらに平成23年度では、HMGB-1の受容体であるreceptor for advanced glycation end products (RAGE)やToll-like receptor (TLR)の眼内における発現について免疫組織染色法にて検討する。またHMGB-1に対する中和抗体をぶどう膜炎を発症したラットに投与し、難治性ぶどう膜網膜炎におけるHMGB-1の作用について炎症制御と神経網膜保護の両面から検討する予定である。
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Research Products
(10 results)