2011 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB-1を介した難治性網膜ぶどう膜炎の炎症制御と網膜保護の可能性
Project/Area Number |
22791685
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渡邊 交世 杏林大学, 医学部, 助教 (90458901)
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Keywords | DAMPs / uveitis / HMGB-1 |
Research Abstract |
我々は難治性ぶどう膜炎の動物モデルとして知られる実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を発症したラット前房水中で、内因性リガンド機能分子(damage-associated molecular pattern:DAMPs)の中でも強い組織障害性を有するHigh Mobility Group Box(HMGB)-1が炎症極期で急激に上昇することを報告した。 今年度はその知見を踏まえ、EAUと並んでぶどう膜炎の動物モデルであるエンドトキシン誘発ラットぶどう膜炎(EIU)におけるHMGB-1の関与について検討するため、以下の実験を行った。 1)抗HMGB-1抗体をもちいたEIU抑制効果の検討 4-6週令のルイスラットの足底皮下に1ipopolysaccalide(LPS)200ug/0.1mlを投与し、EIUを誘導した。LPSの皮下接種直前に抗HMGB-1抗体(0.5mg/rat)で腹腔内投与、24時間後に前房水、血清を採取し蛋白濃度を測定した。その結果、前房水中の蛋白濃度は生食水投与群で13.46mg/ml、抗HMGB-1抗体投与群では14.91mg/mlであり、抗体投与群での蛋白濃度の低下がみられなかった。 2)メトフォルミンによるEIU抑制効果の検討 メトフォルミンは糖尿病治療薬として臨床応用され、最近ではマクロファージからのHMGB-1の分泌抑制作用を有することが報告されている。今回、メトフォルミンによるEIUに対する炎症抑制効果について検討した。その結果、前房水中の蛋白濃度は生食水投与群では平均13.24mg/kgであったのに対してメトフォルミン投与群では13.47mg/kgであり有意差はみられなかった。 以上の結果よりHMGB-1の中和抗体を投与してもEIUの抑制はみられず、EIUの病態においてHMGB-1に加えて他の炎症性mediatorの関与が示唆された。
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