2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症物質レスベラトロールによる糖尿病網膜症への治療効果の解析
Project/Area Number |
22791686
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 俊介 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (90406041)
|
Keywords | 糖尿病網膜症 / 炎症 / 酸化ストレス / レスベラトロール / SIRT1 / VEGF |
Research Abstract |
レスベラトロールは赤ワインやブドウの皮に含まれるポリフェノールの一種として知られている。レスベラトロールは抗酸化作用や坑炎症作用の報告があるが眼に対する効果の報告はまだ少ない。また糖尿病網膜症は現在日本での失明原因が第2位であり(中江公裕ほか 厚生労働省研究班平成17年度研究報告)、視力障害の重要な原因疾患である。そこで我々は糖尿病網膜マウスモデルを使用して、レスベラトロールの糖尿病網膜症に対する効果を解析した。6週齢のC57/B6マウスヘストレプトゾシン(STZ)を60mg/kg5日間腹腔内投与施行し、1週間後に血糖値が250mg/ml以上のものを糖尿病マウスとした。13週齢のマウスに対しレスベラトロールを50mg/kg7日間経口投与施行した。経口投与終了翌日に網膜への白血球接着をconcanavalin A lectin灌流法にて評価した。網膜におけるintercellular adhesion molecule (ICAM)-1とVEGFをELISA法にて評価した。白血球接着はレスベラトロール投与群において有意に(P<0.01)減少が認められた。また糖尿病で上昇が認められたICAM-1とVEGFはレスベラトロール投与群において有意に(P<0.01)減少が認められた。レスベラトロールは糖尿病モデルマウスにおいて白血球接着とその分子メカニズムと考えられるICAM-1とVEGFを抑制した。今回のデータはレスベラトロールの抗炎症作用による糖尿病網膜症の抑制の可能性を示唆している。今後はその病的意義に基づき、詳細な分子メカニズムの解析やSIRT1、NF-kB、8-OHdG、AMPKなどの分子の関与を来年度に向けて解析していく予定である。
|