2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症物質レスベラトロールによる糖尿病網膜症への治療効果の解析
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22791686
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 俊介 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (90406041)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 炎症 / AMPキナーゼ / レスベラトロール / SIRT1 / VEGF |
Research Abstract |
レスベラトロールは赤ワインやブドウの皮に含まれるポリフェノールの一種として知られている。レスベラトロールは抗酸化作用や坑炎症作用の報告があるが眼に対する効果の報告はまだ少ない。また糖尿病網膜症は現在日本での失明原因が第2位であり(中江公裕ほか厚生労働省研究班平成17年度研究報告)、視力障害の重要な原因疾患である。そこで我々は糖尿病網膜マウスモデルを使用して、レスベラトロールの糖尿病網膜症に対する効果を解析した。昨年度は糖尿病網膜申すモデルにおいて、レスベラトロールは白血球接着数、ICAM-1、VEGFを抑制することを明らかにした。今年度はこの抑制するメカニズムを調べるためにSIRT1は生体内活性を測定した。網膜におけるSIRT1の生体内活性は糖尿病で抑制されていることを認め、レスベラトロール投与で有意に回復していることがわかった。次に網膜のリン酸化NF□BをELISA法を用いて測定した。網膜のリン酸化NF□Bは糖尿病で上昇を認め、レスベラトロール投与で有意に抑制されていることがわかった。そして我々はレスベラトロール投与により、AMPキナーゼの活性の変化を検討するために、リン酸化鯉キナーゼの測定をImmunoblot法を用いて行った。その結果、糖尿病では有意にリン酸化AMPキナーゼが減少していることがわかった。そしてレスベラトロール投与でリン酸化AMPキナーゼの量が有意に増加していた。そのためレスベラトロールは糖尿病網膜においてAMPキナーゼの活性化を生じさせていることがわかった。今回の結果は、レスベラトロールがまずAMPキナーゼの活性を活性化させ、その下流でSIRT1の活性を回復するとともにNF□Bの活性を抑制し、その転写の下流にあたるICAM-1やVEGFの発現を抑制して網膜血管への白血球接着を抑制することにより、抗炎症効果を発揮したことを示した。
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