2010 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性に対する水素ガスによる抗酸化療法の効果の解析
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22791688
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
厚東 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60464814)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 水素ガス / 酸化ストレス / 網膜色素上皮細胞 / 脈絡膜新生血管 |
Research Abstract |
加齢斑変性は近年高い有病率が報告され、超高齢化社会の進行とともに患者が増加してきている非常に重要な視力障害の原因疾患である。発症メカニズムには酸化ストレスが含まれることが広く認識されているが、現時点では有効な治療法があまりない。抗酸化剤のサプリメントの適応が注目されているものの様々な課題が残されている。一方、水素分子は低分子でありほとんどの臓器に拡散可能であること、摂取の開始・中断により体内レベルをコントロールしやすいことが知られている。しかし抗酸化作用の報告がある水素分子の加齢黄斑変性に対する効果についての報告は未だ無い。そこで、水素の加齢黄斑変性の酸化ストレス病態に対する効果を解析した。6週齢のC57/B6マウスにレーザー光凝固装置(NOVUS spectra TM)を使用して強度のレーザー光凝固を行いBruch膜を断裂させることにより、Bruch膜断裂部を通って脈絡膜新生血管が網膜下へ進展する脈絡膜血管新生マウスモデルを使用した。レーザー照射前のマウスに対し水素水を0.3μg経口投与施行した。経口投与終了7日後にFITCレクチンによる灌流ラベル法を用いて脈絡膜新生血管の体積を評価した。脈絡膜新生血管は水素水投与群において減少する傾向にあることが認められた。今回のデータは水素ガスの抗酸化作用による加齢黄斑変性の抑制の可能性を示唆している。今後は再現性の確認やその病的意義に基づき、詳細な分子メカニズムの解析やDHE、NF-kB、8-OH d G、VEGFなどの分子の関与を来年度に向けて解析していく予定である。
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