2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームマウスにおける涙液分泌低下の発症機序と制御機構の解明
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22791691
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川島 素子 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (00327610)
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Keywords | 細胞生物学 / 涙腺 / ドライアイ / 糖尿病 |
Research Abstract |
近年増加しているII型糖尿病およびメタボリックシンドロームに伴う眼合併症の中にドライアイがあるが、失明に関わらないとの認識より今までメタボリックシンドロームとドライアイについての研究報告はほとんど行われてこなかった。涙腺の組織学的検討を行ったものは動物モデルを使用したものを含めて皆無である。そこで、初年度に確定したII型糖尿病モデルマウス(雄のKK-A^yマウス)に高脂肪食負荷(60%FAT:ラード)をかけて作成したメタボリックシンドロームモデルを用いて、涙液分泌機能の低下および涙腺、眼表面組織学的変化、および遺伝子変化を検討した。涙液量は高脂肪食負荷群で有意に減少することを再現性をもって確認し、また、角膜上皮障害を作製した場合の創傷治癒は遅延することを確認した。涙腺の組織学所見として、高脂肪食負荷群で著明な炎症細胞の浸潤が認められたのとともに、涙腺の遺伝子解析では、TNF-α,MCP-1などの炎症関連遺伝子の発現上昇を認めた。また、エネルギー代謝関連遺伝子および抗酸化酵素関連遺伝子の変動を認めた。酸化ストレスマーカー(80H-dG)染色では高脂肪食負荷群で強い染色を認めた。涙腺組織の電子顕微鏡観察も行い、高脂肪食負荷群での炎症細胞浸潤像や涙液分泌顆粒の分布変化、間質のコラーゲン線維の増加などを確認した。これらの研究結果により、メタボリックシンドロームモデルマウスによる涙腺機能低下の証明ができ、またその機序として炎症細胞の浸潤および酸化ストレスが関与していることが示唆された。
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