2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素過剰発生モデルマウスを用いたドライアイ発症メカニズムの検証
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22791692
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内野 裕一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80365337)
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Keywords | 活性酸素 / ドライアイ / 酸化傷害 / ミトコンドリア / 涙腺 / 炎症 / 分泌減少 |
Research Abstract |
本研究の目的は、涙腺や眼表面においてミトコンドリア由来の活性酸素による細胞内酸化ストレスがどのように傷害を引き起こし、涙液分泌量減少や眼表面炎症を伴うドライアイがいかに生じるか解明することにある。研究デザインとして、ミトコンドリア電子伝達系から活性酸素を過剰発生するモデル動物としてTet-mev-1マウス(コントロールはC57BL/6J)を用いて、in vivoによる実験系で涙腺を主として解析を行った。特に本年度は、(1)涙腺におけるミトコンドリア由来細胞内活性酸素(O_2^-)の測定、(2)酸化タンパク量測定と8-OHdG免疫組織染色、(3)T細胞やB細胞などの免疫担当細胞の免疫組織染色と組織線維化評価のためのAzan染色、の以上3点を中心として実験を行ったので、その結果を報告する。 (1)O_2^-と反応すると発光するMPEC試薬を使い、各マウス涙腺のミトコンドリア画分における反応を吸光度計にて数値化し評価した。その結果、Tet-mev-1マウスでは活性酸素(O_2^-)がコントロールマウスより有意に増加していた。 (2)涙腺における酸化タンパク量を数値化して評価するために、ELISA法で評価が可能なOxyBlot^<TM> (Millipore社)というProtein Oxidation Detection Kitを用いて酸化タンパク量を評価した。その結果、Tet-mev-1マウスにおける涙腺組織内の酸化傷害の蓄積はコントロールマウスより有意に増加していた。また酸化傷害を評価することができる抗8-OH dG航体で各々の涙腺を免疫組織染色したところ、Tet-mev-1マウスの涙腺は強く染色されており、酸化傷害の蓄積が明らかであることが判明した。 (3)CD4、CD8、CD19などの細胞表面マーカーを標的として免疫組織染色し、炎症の起きている組織での免疫細胞の存在を調べたところ、Tet-mev-1マウスの涙腺では細胞障害性T細胞やヘルパーT細胞、B細胞、マクロファージなどの免疫担当細胞が多数認められた。また組織線維化をみるAzan染色でも、Tet-mev-1マウスの涙腺でのみ細胞間に線維化を示す染色所見を認めた。
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